ヘミセクションとは?歯を部分的に残すための保存外科治療
最終更新日:2025年12月01日
医療法人社団スマイル会 ふかさわ歯科クリニック篠崎
(篠崎町7丁目)
ヘミセクションの定義と特徴
ヘミセクションとは、複数の歯根をもつ大臼歯に対して、問題のある歯根のみを抜去し、残りの健全な歯根と歯冠を保存する治療法です。歯を丸ごと抜歯するのではなく、一部だけを取り除くことで、できる限りご自身の歯を長く機能させることを目的としています。
専門的には「歯根分割抜去法」とも呼ばれ、抜歯と保存療法の中間に位置づけられる保存的外科処置です。主に歯根破折や根尖病変などが一部の歯根に限局している場合に適応され、全部抜歯を回避できる選択肢となり得ます。
インプラントやブリッジなどの補綴治療に比べ、噛み心地や歯根から伝わる感覚がより自然に保たれる場合も多く、適切な症例では非常に有用な方法です。ただし、高度な診断力と外科・補綴の技術を必要とするため、精密検査と治療計画が不可欠です。
ヘミセクションの適応となる症例
ヘミセクションの対象は、基本的に奥歯(大臼歯)です。上顎大臼歯は通常3根、下顎大臼歯は通常2根(まれに3根)を持ち、そのうち一部の歯根だけが重度に障害され、他の歯根は良好な状態である場合に検討されます。
代表的な適応例は次の通りです。
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歯根破折(特に一根に限局した破折)
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根尖性歯周炎などによる根尖病変(根の先に膿がたまっている)
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深在性う蝕により特定の歯根まで進行した場合
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歯周病により一部の歯根だけ支持骨が高度に吸収している場合
一方、残す歯根については以下の条件を満たしていることが望まれます。
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十分な歯根長があり、咬合力に耐えられる
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歯槽骨の支持が比較的良好である
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清掃性が確保できる位置と形態である
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将来的にクラウンやブリッジによる補綴が可能な形態である
これらをレントゲンやCT、歯周組織検査などの情報と併せ、全身状態も含めて総合的に判断します。「抜歯しかない」と思われがちな状況でも、条件が揃えば歯を部分的に残せることが、ヘミセクションの大きな利点です。
ヘミセクションの適応条件と全身状態
ヘミセクションの予後を左右するのは、口腔内の状態だけではありません。次のような全身状態や生活習慣も重要な判断材料となります。
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糖尿病や高血圧などの全身疾患が十分にコントロールされているか
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喫煙習慣の有無(歯周病リスク・術後治癒への影響)
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ブラッシング習慣や定期通院への意欲
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咬合力が過度に強い(歯ぎしり・くいしばり)傾向がないか
ヘミセクションは「抜歯の一歩手前の保存療法」といえる治療であり、術後のメンテナンスに積極的に取り組んでいただけるかどうかが成功の鍵となります。
ヘミセクションの治療の流れ
① 診断と検査
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レントゲンや必要に応じてCT撮影を行い、歯根形態・病変の範囲・歯槽骨の状態を評価
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歯周ポケット検査や歯の動揺度検査で歯周組織の健康状態を確認
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どの歯根を残し、どの歯根を除去するかを総合的に判断
② 外科処置(切開・分割・抜去・縫合)
局所麻酔下で以下の手順で行います。
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歯肉を切開し、問題のある歯根を明示
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歯冠・歯根を必要なラインで分割
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病的な歯根のみを慎重に抜去
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必要に応じて周囲骨の整形を行い、歯肉を縫合・止血
ミリ単位の精度が求められるため、経験豊富な歯科医師による施術が望まれます。
③ 補綴処置(クラウン・ブリッジ)
歯根の一部を除去した後は、残存部に対して補綴処置を行います。
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単独歯としてクラウンを装着する場合
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隣在歯と連結してブリッジを作製する場合
これにより噛み合わせと審美性を回復し、日常生活に支障のない機能回復を目指します。条件によっては保険診療内で対応可能なこともあります。
④ 術後ケアと経過観察
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数日〜1週間程度、腫れや軽度の疼痛がみられることがありますが、鎮痛薬や抗菌薬でコントロール可能なことがほとんどです。
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清掃指導に従い、創部周囲を清潔に保つことが重要です。
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数週間〜数か月ごとにレントゲンや臨床診査で骨の治癒・補綴物の状態・歯周組織をチェックします。
他の治療法との比較
抜歯・インプラント・根管治療との違い
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根管治療:歯根内部の感染を除去し歯を残す治療ですが、歯根そのものが破折している場合などには適応外となります。
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抜歯+インプラント/義歯/ブリッジ:歯を丸ごと失うため、人工物で機能回復を図る必要があります。
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ヘミセクション:根管治療では対応できないが、すべて抜歯してしまうには惜しい症例において、一部の歯根を残して機能を維持する選択肢です。
自分の歯根を活かせる点から、噛み心地の自然さや感覚の維持という点では、インプラントや義歯より優れる場合もあります。
費用・侵襲性の比較
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ヘミセクション:日本では原則として保険適用となるため、自己負担は比較的抑えられます。
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インプラント:自由診療となり、1本あたり数十万円の費用がかかるのが一般的です。
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侵襲性:ヘミセクションは局所麻酔下で行う比較的低侵襲な処置であり、骨造成を伴うインプラント手術に比べ、身体的負担が小さい傾向にあります。
ヘミセクションのメリットとデメリット
メリット
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自然な噛み心地や感覚をある程度維持できる
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自己歯根を活かすため、違和感が比較的少ない
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外科的侵襲が比較的少なく、高齢者や全身疾患のある方にも選択しやすい場合がある
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保険適用により、経済的負担を抑えた歯の延命が可能
デメリット・注意点
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高度な技術を要するため、すべての歯科医院で対応できるわけではない
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残存歯根の状態や咬合条件によっては、長期的な安定が得られないこともある
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術後に残した歯根に新たな病変が生じた場合、改めて抜歯やインプラント・義歯への移行が必要になることがある
したがって、ヘミセクションを選択する際には、利点とリスクを十分に理解し、担当歯科医とよく相談しながら治療方針を決定することが重要です。
ヘミセクション後のケアとメンテナンス
日常のセルフケア
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やわらかめの歯ブラシを用い、歯肉を傷つけないよう丁寧なブラッシングを行う
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デンタルフロスや歯間ブラシで、ブリッジの支台歯周囲のプラークを確実に除去する
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フッ素入り洗口剤の使用により、残存歯のう蝕予防と歯質強化を図る
定期検診の重要性
3〜6か月に1回を目安に、以下の点をチェックします。
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クラウン・ブリッジなど補綴物の適合と破損の有無
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レントゲンによる歯根と歯槽骨の状態
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歯周ポケットの深さ、出血の有無
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咬合状態の変化やブラキシズムの兆候
症状がなくても定期的なフォローを続けることで、ヘミセクションの寿命を大きく延ばすことができます。
生活習慣の見直し
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片側ばかりで噛まず、両側でバランスよく咀嚼する
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歯ぎしりやくいしばりが強い場合は、ナイトガード(マウスピース)の使用を検討する
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間食や糖質摂取の頻度をコントロールする
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喫煙習慣がある場合は禁煙・減煙を検討する
ヘミセクションは処置を行って終了ではなく、術後のケアを含めて初めて「歯を守る治療」として完結します。
ヘミセクションに対応できる歯科医院の選び方
歯科医師の経験と専門性
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歯周外科や保存治療に精通した歯科医師が在籍しているか
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ヘミセクションを含む症例実績を公開しているか(ホームページなど)
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学会所属や研修歴など、専門性の裏付けがあるか
外科・補綴双方への対応力
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切開・骨整形など歯周外科処置に対応できる設備と技術があるか
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残した歯根を長期的に活用できるよう、クラウン・ブリッジなど補綴治療に力を入れているか
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診査・診断から外科、補綴、メンテナンスまで一貫して対応できる体制が整っているか
カウンセリング体制
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ヘミセクションの適否だけでなく、抜歯・インプラント・義歯など複数の選択肢を比較しながら説明してくれるか
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治療の流れ・期間・費用・リスクについて事前に十分な説明があるか
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患者の不安や希望に耳を傾け、方針を一緒に検討してくれる姿勢があるか
初診時のカウンセリングや説明の丁寧さは、その医院の治療方針や患者さんへの姿勢を判断する大きな手がかりになります。ヘミセクションを検討する際は、これらの点も踏まえて医院選びを行うとよいでしょう。
基本情報
- 事業所名
- 医療法人社団スマイル会 ふかさわ歯科クリニック篠崎
- ふりがな
- いりょうほうじんしゃだんすまいるかい ふかさわしかくりにっくしのざき
- 代表者名
- 深沢 一
- ふりがな
- ふかさわ はじめ
- 営業時間
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(月~金)9:00 〜 13:00 14:30 〜 19:30
(土)8:00 〜 13:00 14:00 〜 18:00
(日)8:00 〜 13:00 14:00 〜 17:30 - 定休日
- 第三金曜日の午前中は院内研修のため休診です。
- 電話番号
- 03-3676-1058
- Webサイト
- https://2525.biz/
- 所在地
- 〒133-0061
江戸川区篠崎町7丁目 27-23-ISIビル千葉銀行3F - アクセス
- 都営新宿線篠崎駅南口徒歩1分です。ローターリー前の千葉銀行が1階にあるビルの3階です。京成バス、都営バスなら都営新宿線篠崎駅南口バス停下車し、徒歩1分です。









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