MFT(口腔筋機能療法)とは
MFT(Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)とは、舌・口唇・頬などの口腔周囲筋の機能を改善し、正しい口腔習癖と機能を獲得するための訓練療法です。単なる筋力強化ではなく、安静時の舌位、嚥下様式、呼吸様式などの機能的再教育を目的とします。
主な目的は以下の通りです。
・舌の適切な安静位(スポットポジション)の確立
・口呼吸から鼻呼吸への改善
・正常な嚥下および構音機能の獲得
・歯列・咬合の安定化
特に小児矯正や機能的問題を伴う不正咬合において、治療効果の向上および後戻り防止の観点から重要な役割を担います。
口腔周囲筋が歯列に与える影響
歯列は、舌圧(内側からの力)と口唇・頬圧(外側からの力)の均衡が取れた位置に形成されます。これは「バクシネーターメカニズム」と呼ばれ、歯列安定の基本原理です。
このバランスが崩れると、以下のような問題が生じます。
・舌突出癖による上顎前突や開咬
・口唇閉鎖不全による口呼吸の助長
・筋機能低下による顎顔面発育の異常
そのため、筋機能の異常を放置したまま矯正治療を行っても、後戻りのリスクが高くなります。
MFTが適応となる主な症例
MFTは以下のような機能異常や口腔習癖に対して有効です。
不正咬合
・開咬
・上顎前突
・叢生
機能異常
・舌突出癖
・低位舌
・口呼吸
その他
・構音障害(特にサ行・タ行)
・睡眠時無呼吸やいびき
・嚥下異常
これらは形態的問題だけでなく、機能異常が根本原因となることが多く、MFTはその改善に直接的に関与します。
年齢と治療効果
MFTは全年齢で実施可能ですが、成長期において特に高い効果が期待されます。
小児(5〜10歳)
顎顔面の成長が活発なため、筋機能の改善がそのまま歯列・咬合の正常発育に反映されやすい時期です。
成人
筋機能の改善や後戻り防止には有効ですが、骨格的改善は困難であり、矯正治療との併用が前提となります。
MFTの臨床的意義
MFTは単なる補助療法ではなく、矯正治療の成功に不可欠な要素です。
・治療前:歯の移動環境の最適化
・治療中:不適切な筋圧の制御
・治療後:後戻りの防止
機能の正常化により、歯列は「維持される状態」へと導かれます。
まとめ
MFTは、口腔周囲筋の機能を正常化することで、歯列・咬合・呼吸・嚥下・発音といった多面的な問題を改善する治療法です。特に矯正治療と併用することで、治療効果の安定化と長期予後の向上に寄与します。
形態だけでなく機能にアプローチする点が、MFTの最大の特徴といえます。
詳細はお子さまの“お口ぽかん”・舌の癖に要注意!歯科でできるMFT治療とは?
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