高血圧患者の歯科治療|安全に治療を受けるためのポイント
最終更新日:2026年07月20日
医療法人社団スマイル会 ふかさわ歯科クリニック篠崎
(篠崎町7丁目)
高血圧患者の歯科治療|安全に治療を受けるためのポイントと全身管理
日本における高血圧の現状
高血圧は日本で最も患者数の多い生活習慣病の一つであり、約4,300万人が高血圧であると推定されています。自覚症状に乏しい一方、脳卒中や心筋梗塞などの重大な心血管疾患の危険因子であるため、歯科治療においても十分な全身管理が求められます。
歯科治療では、痛みや緊張によって血圧が一時的に上昇することがあるため、術前・術中・術後を通じた血圧管理が安全な治療の鍵となります。
高血圧の種類と特徴
本態性高血圧
全高血圧患者の約90%を占めます。
遺伝的要因に加え、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣が複合的に関与し、明確な原因を特定できない高血圧です。
二次性高血圧
全体の約10%を占め、原因となる疾患が存在します。
主な原因には以下があります。
- 慢性腎臓病
- 腎動脈狭窄
- 原発性アルドステロン症
- 褐色細胞腫
- 甲状腺疾患
- 妊娠高血圧症候群 など
原因疾患を治療することで血圧の改善が期待できます。
高血圧が引き起こす全身への影響
高血圧が長期間続くと血管内皮が障害され、全身の血管にさまざまな合併症を引き起こします。
主な合併症は以下のとおりです。
- 脳梗塞
- 脳出血
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 心不全
- 慢性腎臓病(CKD)
- 動脈硬化の進行
歯科治療では、これらの疾患を有する患者さんも多いため、治療中に急激な血圧上昇を起こさせないことが重要です。
高血圧が歯科治療に及ぼす影響
歯科治療中は、精神的緊張や疼痛刺激によって交感神経が活性化し、一時的に血圧や心拍数が上昇することがあります。
その結果、次のようなリスクが高まります。
- 治療中の血圧上昇
- 出血量の増加
- 脳血管障害や心血管イベントの誘発
- 不整脈の発生
このため、高血圧患者さんでは「痛み」と「不安」をできるだけ軽減した治療が重要になります。
局所麻酔と血圧管理
歯科治療では、局所麻酔薬としてアドレナリンを含有する製剤が広く使用されています。
アドレナリン含有局所麻酔薬(キシロカインなど)
アドレナリンには血管収縮作用があり、
- 麻酔効果の延長
- 出血量の減少
- 麻酔薬の全身吸収抑制
といった利点があります。
一方で、急速注入や過量投与では心拍数や血圧が上昇する可能性があるため、高血圧患者では慎重な投与が必要です。
十分な吸引確認を行い、ゆっくりと少量ずつ注入することが基本となります。
高血圧患者における麻酔使用の基本方針
血圧が良好にコントロールされている場合
十分に血圧が管理されていれば、多くの歯科治療や抜歯は通常どおり実施できます。
アドレナリン含有局所麻酔薬も適切な投与量と投与方法を守れば使用可能です。
血圧がコントロールされていない場合
収縮期血圧180mmHg以上、または拡張期血圧110mmHg以上の場合は、原則として緊急性のない歯科治療は延期し、内科で血圧コントロールを優先します。
緊急処置が必要な場合には、高次医療機関との連携や静脈内鎮静法を検討します。
アドレナリンを含まない局所麻酔薬
高血圧や心血管疾患の患者さんでは、必要に応じてアドレナリンを含まない局所麻酔薬を選択することがあります。
シタネスト・オクタプレシン
主成分はプロピトカインとフェリプレシンです。
アドレナリンを含まないため、心拍数や血圧への影響が比較的少なく、以下のような症例で選択されることがあります。
- アドレナリン投与が望ましくない患者
- 心血管疾患を有する患者
- 血圧変動を最小限に抑えたい患者
降圧薬と局所麻酔薬の相互作用
服用している降圧薬によって、アドレナリンへの反応が異なるため注意が必要です。
α遮断薬服用中
α遮断作用により、アドレナリン投与時にβ作用が優位となり、血管拡張による急激な血圧低下(アドレナリン反転)が起こる可能性があります。
そのため、アドレナリン含有局所麻酔薬は慎重投与または回避を検討します。
非選択性β遮断薬服用中
非選択性β遮断薬ではβ作用が抑制されるため、アドレナリン投与時にα作用が優位となり、著しい血圧上昇を生じることがあります。
このため、アドレナリン含有局所麻酔薬は必要最小限の投与量とし、慎重なモニタリングを行います。
歯科治療中のモニタリング
高血圧患者では、治療中も全身状態を継続的に確認することが重要です。
主なモニタリング項目は以下のとおりです。
- 血圧測定
- 心拍数の確認
- パルスオキシメーターによる酸素飽和度(SpO₂)の測定
異常を早期に発見し、迅速に対応することで重篤な合併症を予防できます。
高血圧緊急症への対応
歯科治療中に著しい血圧上昇が認められた場合は、直ちに治療を中断し、全身状態を評価します。
主な症状
- 激しい頭痛
- 吐き気・嘔吐
- めまい
- 視覚異常
- 胸痛
- 呼吸困難
- 意識障害
初期対応
- 治療を中止する
- 半座位または座位に体位を変更する
- バイタルサインを測定する
- 必要に応じて酸素投与を行う
- 医科と連携し、速やかに救急搬送を検討する
なお、近年の高血圧診療ガイドラインでは、ニフェジピンカプセルの舌下投与は急激な降圧による脳・心血管イベントの危険性があるため推奨されていません。
歯科診療所で独自に降圧薬を投与するのではなく、患者さんの全身状態を評価し、必要に応じて救急搬送や医科との連携を優先することが推奨されています。
当院の高血圧患者に対する安全管理体制
当院では、高血圧をお持ちの患者さんにも安心して歯科治療を受けていただけるよう、以下の体制を整えています。
- 治療前の血圧測定と全身状態の確認
- 服用中の降圧薬や既往歴の詳細な確認
- 表面麻酔や極細針・電動麻酔器を活用した痛みの少ない麻酔
- 症例に応じた局所麻酔薬の適切な選択
- 治療中の血圧・脈拍・酸素飽和度の継続的なモニタリング
- 緊急時対応マニュアルに基づく迅速な救急対応と医科との連携
高血圧があるからといって、すべての歯科治療が受けられないわけではありません。血圧が適切に管理され、全身状態に配慮した治療を行うことで、多くの歯科治療は安全に受けることが可能です。不安な点がある場合は、遠慮なくご相談ください。
基本情報
- 事業所名
- 医療法人社団スマイル会 ふかさわ歯科クリニック篠崎
- ふりがな
- いりょうほうじんしゃだんすまいるかい ふかさわしかくりにっくしのざき
- 代表者名
- 深沢 一
- ふりがな
- ふかさわ はじめ
- 営業時間
-
(月~金)9:00 〜 13:00 14:30 〜 19:30
(土)8:00 〜 13:00 14:00 〜 18:00
(日)8:00 〜 13:00 14:00 〜 17:30 - 定休日
- 第三金曜日の午前中は院内研修のため休診です。
- 電話番号
- 03-3676-1058
- Webサイト
- https://2525.biz/
- 所在地
- 〒133-0061
江戸川区篠崎町7丁目 27-23-ISIビル千葉銀行3F - アクセス
- 都営新宿線篠崎駅南口徒歩1分です。ローターリー前の千葉銀行が1階にあるビルの3階です。京成バス、都営バスなら都営新宿線篠崎駅南口バス停下車し、徒歩1分です。








SNSでシェアする