骨代謝調整薬(BMA)の基礎と歯科治療における注意点
最終更新日:2026年07月23日
医療法人社団スマイル会 ふかさわ歯科クリニック篠崎
(篠崎町7丁目)
骨代謝調整薬(BMA)の基礎と歯科治療における注意点
BMA(Bone Modifying Agents)とは
骨代謝調整薬(BMA:Bone Modifying Agents)は、破骨細胞の働きを抑制することで骨吸収を抑え、骨の代謝バランスを維持する薬剤です。
骨転移による骨破壊や骨関連事象(Skeletal-Related Events:SRE)の予防、ならびに骨粗鬆症の治療を目的として広く使用されており、がん治療や骨疾患の管理に欠かせない薬剤となっています。
主なBMAの種類
ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)
ビスフォスフォネート製剤は骨組織へ強く結合し、破骨細胞の機能を抑制することで骨吸収を抑えます。長期間にわたり骨内に残留する特徴があります。
デノスマブ(抗RANKL抗体)
デノスマブは、破骨細胞の分化・活性化に必要なRANKLを阻害することで、骨吸収を抑制します。骨への残留性はありませんが、投与期間中は強力な骨吸収抑制作用を示します。
BMAが使用される主な疾患
BMAは次のような疾患で使用されます。
- 乳がん・肺がん・前立腺がん・腎がんなどの骨転移
- 多発性骨髄腫に伴う骨病変
- 悪性腫瘍による高カルシウム血症
- 骨粗鬆症
顎骨壊死(MRONJ)のリスク
BMAを使用している患者さんでは、抜歯や歯周外科手術などの侵襲的歯科治療を契機として、**薬剤関連顎骨壊死(Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw:MRONJ)**を発症することがあります。
MRONJは、顎骨が露出したまま治癒しない状態が続く重篤な合併症であり、感染を伴うと骨髄炎へ進展することもあります。
歯科治療では、次の点が特に重要です。
- 治療開始前の口腔内精査
- 歯周病や根尖病変など感染源の除去
- 必要性の低い外科処置をできるだけ避ける
- 医科主治医との十分な連携
顎骨壊死(MRONJ)の発症メカニズム
BMAは骨吸収を抑制することで骨代謝回転を低下させます。その結果、顎骨の修復能力が低下し、抜歯や感染などを契機として壊死が生じやすくなります。
さらに細菌感染が加わることで骨髄炎を併発し、病変が拡大することがあります。
顎骨壊死・骨髄炎のリスク因子
局所因子
- 抜歯などの外科処置
- 歯周外科手術
- 重度歯周病
- 根尖性歯周炎(根尖病巣)
- 口腔衛生状態の不良
- 不適合義歯による慢性的刺激
全身因子
- 悪性腫瘍
- 抗がん剤治療
- 放射線治療
- ステロイド療法
- 免疫抑制状態
- 糖尿病など全身疾患
骨髄抑制期と歯科治療
骨髄抑制期とは
抗がん剤投与後、およそ1〜3週間は白血球や好中球が減少し、感染に対する抵抗力が著しく低下します。特に投与後約2週間前後は感染リスクが最も高くなる時期とされています。
この期間には慢性的な歯性感染症が急性増悪しやすく、顎骨感染へ進展する危険性も高まります。
骨髄抑制期に起こりやすい口腔内トラブル
- 歯周病の急性増悪
- 根尖性歯周炎の悪化
- 智歯周囲炎
- インプラント周囲炎の急性化
- 血小板減少による出血傾向
- 赤血球減少による貧血
- 口腔粘膜炎
- 口腔カンジダ症
- 口腔乾燥症
観血的処置を行う際の一般的な目安
侵襲的な歯科処置を検討する際には、以下の血液データが一つの目安となります。
- 白血球:2,000/μL以上
- 好中球:1,000/μL以上
- 血小板:40,000〜50,000/μL以上
ただし、これらはあくまでも参考値であり、実際の治療可否は主治医との連携のもとで総合的に判断する必要があります。
抗がん剤治療と口腔感染症
重度歯周病
抗がん剤による免疫機能の低下により、慢性的な歯周病が急速に悪化することがあります。
重症例では骨髄炎や腐骨形成へ進行する可能性もあるため、保存が困難な歯については抗がん剤治療開始前に抜歯を検討することがあります。
インプラント周囲炎
慢性のインプラント周囲炎は、抗がん剤治療開始後に急激に悪化する場合があります。
炎症が進行すると、
- 骨吸収の拡大
- 骨壁の裂開
- 周囲組織への感染拡大
などを引き起こし、重症例ではインプラント撤去が必要となることもあります。
そのため、進行したインプラント周囲炎では、抗がん剤治療前に適切な処置を行うことが重要です。
根尖病巣(根尖性歯周炎)
虫歯や外傷などにより歯髄が感染すると、細菌が根管を通じて歯根の先へ広がり、根尖部に炎症や膿の袋(根尖病巣)を形成します。
通常は慢性的に経過することが多いものの、抗がん剤治療に伴う免疫低下によって急性化し、強い痛みや腫れ、顎骨感染へ進展することがあります。
そのため、抗がん剤投与前には根管治療を完了し、感染源を可能な限り除去しておくことが推奨されます。
一方、抗がん剤開始まで十分な治療期間を確保できない場合や、保存が困難と判断される歯では、抜歯が選択されることがあります。
根管治療による感染源の除去
適切な根管治療によって根管内の細菌感染を除去できれば、根尖病巣は徐々に治癒し、X線写真上でも骨の再生が確認されるようになります。
感染源が十分にコントロールされた状態であれば、抗がん剤治療中の口腔感染リスクを低減することが期待できます。
抗がん剤・BMA治療開始前の口腔管理が重要です
抗がん剤や骨代謝調整薬による治療を安全に進めるためには、治療開始前から口腔内環境を整えておくことが極めて重要です。
主な目的は次の3点です。
- 歯周病や根尖病巣など感染源の除去
- プラークコントロールによる口腔細菌数の低減
- 長期的な予後を考慮した治療計画の立案
歯科医師と医科主治医が連携し、治療開始前に適切な口腔管理を行うことが、MRONJや重篤な口腔感染症の予防につながります。治療前の適切な対応が、安心してがん治療や骨粗鬆症治療を受けるための重要な第一歩です。
基本情報
- 事業所名
- 医療法人社団スマイル会 ふかさわ歯科クリニック篠崎
- ふりがな
- いりょうほうじんしゃだんすまいるかい ふかさわしかくりにっくしのざき
- 代表者名
- 深沢 一
- ふりがな
- ふかさわ はじめ
- 営業時間
-
(月~金)9:00 〜 13:00 14:30 〜 19:30
(土)8:00 〜 13:00 14:00 〜 18:00
(日)8:00 〜 13:00 14:00 〜 17:30 - 定休日
- 第三金曜日の午前中は院内研修のため休診です。
- 電話番号
- 03-3676-1058
- Webサイト
- https://2525.biz/
- 所在地
- 〒133-0061
江戸川区篠崎町7丁目 27-23-ISIビル千葉銀行3F - アクセス
- 都営新宿線篠崎駅南口徒歩1分です。ローターリー前の千葉銀行が1階にあるビルの3階です。京成バス、都営バスなら都営新宿線篠崎駅南口バス停下車し、徒歩1分です。








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