平成18年に3代目社長に就任。一度退任された後、平成30年に再度就任(現会長)。
「従来の仕事を従来通りやっているだけではだめだと考え、業務効率化とできる仕事を増やしていくことの両方を念頭に置いています。従業員には『できるかどうかではなく、まずやってみよう』と常に説いています。おかげさまでお客様からも『岩戸に聞けば解決する』と信頼していただきありがたい限りです。」と、お客様第一のゆるぎない熱意をお聞きすることができました。
※現在は、取材にご対応いただいた北村稔様が代表取締役にご就任されており、菅宮勝夫様は現在会長にご就任されています。
いわとねーむぷれーとこうぎょうかぶしきがいしゃ岩戸ネームプレート工業株式会社
Interview No.18
■取材日:2020年9月16日
会社概要
昭和39年に中野区にて真鍮加工業として創業。昭和47年に江戸川区へ移転。金属に特定の加工のみを専門に行っている事業者が多い業界の中、シルク印刷・オフセット印刷・アルマイト染色など、金属プレート類の印刷等をメインに、多岐にわたる高い技術を保有している。納品先は官民問わず様々。取引先だけではなく同業他社からも「岩戸に聞けば解決する」と定評がある。
新型コロナウイルス感染症対策として、江戸川区内の事業者と協力し、手を使わない「足踏み式消毒液スタンド」を製作。全国の公共施設や飲食店などに導入され始めている。
特定の金属に対する印刷や特定の印刷工法のみを行っている同業者が多い中、弊社は一般的な金属に対する印刷は、ほとんど対応できます。
社長をはじめ、会社全体で「お客様のためにできることを増やしていく」という想いで動き続けることにより、様々な加工に対応できるようになりました。
培った加工技術を活かし、本来なら複数の加工会社を経由して完成させる製品を弊社で一括して受けています。また、製品の使用用途を鑑みた上で、より良い製品になるように発注者へ提案するなど、お客様に寄り添った対応をするように心がけています。その結果、アクリル樹脂製品への印刷や化粧箱の製作など新たなお仕事をいただき、弊社の事業をより拡げる機会をいただけました。現在は、屋外広告業者の登録をし、看板の制作から設置まで行うなど、お客様の要望にさらに応えられるよう、事業領域を増やし続けています。
それ以外では、同じ工場会(東小松川工場会)に所属する事業所の方々との連携も弊社の強みと考えております。横のつながりが強い中小企業同士、互いに協力しあえる環境を整備しているため、様々な苦境を乗り越えることができています。
江戸川区の産業展に掲載した広告。あらゆる金属印刷に対応しているため、官公庁から民間大手・中小企業、団体など幅広く仕事を受注している。
中国をはじめ、海外で多く製造されているピンバッジや名札も弊社では取り扱っています。そのため、コロナの影響で海外に依頼ができない方々から、弊社に発注される案件が増えています。本来、最も影響を受ける業種のひとつでもある製造業ですが、そのおかげもあって2月~4月頃は、堅調な売り上げで推移し、補助金なども活用することなく上半期を乗り越えることができました。
元々は、お客様から「公共施設等の消毒液を使用する際に手で触るのが不安なので、こんな感じのものを作れないか?」という声をいただいたのがきっかけです。仕様や設計、各部の材質等を検討した後、弊社が所属する工場会の会員企業と協力して製作しました。
本体となるフレームの切断は市松鋼材株式会社、フレーム・部品の曲げ加工は株式会社土筆鋼業、各部の溶接は株式会社ヨコヤマ工業に行っていただき、組立・塗装は弊社が行いました。それぞれの得意分野を活かすことで、試作品製作から1か月程度で商品化することができました。
同じ地区内でそれぞれの会社との距離が近いということもありますが、仲間たちそれぞれがどの分野が得意かを事前に把握していたこと、そして強固なつながりがあったからこそ、この商品を世に生み出すことができました。
今回のコロナ禍も、同じ工場会の方々と協力し、「メイドイン江戸川」の足踏み式の消毒液スタンドを通して、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えられるよう今後も尽力していきます。
実際の利用者の立場となって、使用感などを考慮し製作されたとのこと。特にペダルの『ちょうど良い踏み心地』にこだわりを持ち、多くの試作品を経て完成させたと伺いました。
仕事の脱属人化および効率化を進めており、常に誰もが同じ業務に対応できるようノウハウを共有しています。また、お客様のご要望に迅速に応えられるように、新たな生産工程の開発や既存の生産方法の見直しもしています。
過去の受注案件でも見直す機会がありました。具体的には、ある製品を作る際に、従来では注射針で一つ一つ色を入れていましたが、手間がかかる作業のため、納品にかなりの時間を要していました。そこで、他の製品の染色方法を活用し、試行錯誤を重ね、新たな方法を編み出しました。それにより、生産スピードが格段に上がり、速やかに納品することができました。
消毒液足踏み式スタンド
江戸川区内の町工場4社がそれぞれの得意分野を活かして製作した消毒液スタンド。通常、ボトル状の消毒液は上部のポンプを押して消毒液を手に出すが、足踏み式にすることで手を使わずに消毒液を出せる。
現在、区内のみならず、日本各地の公共施設や飲食店で使用され始めている。
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企業用名札およびテーマパークのバッジ
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複数の色を用いたピンバッジ
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イベント用ノベルティグッズ
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施設・新聞等の記念メダル、金属製のしおり
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磁気カード、大会用カード
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記念品、盾等
上記以外にも、社屋に掲載する会社名入りプレートやバッジなど金属製・樹脂製など様々な材質に対応をしております。「こんなものも作れるのかな?」といったご相談もお気軽にお問い合わせください。
3階建ての社屋の2階では事務作業を、1階および3階では化学薬品を用いた金属加工や塗装など、エリアごとに業務が行われており、消毒液スタンドの塗装・組立もされていました。
「作業は基本的にそれぞれの分野のプロフェッショナルが行っております。従来の事業通りネームプレートを製造しているだけではここまで事業を拡げられず、従業員も少なかっただろうと感じています。今後は、同業他社や後継者に悩んでいる仲間とも手を取り合って歩んでいきたいと考えています。」と、自社のみならず業界全体を考える熱意や姿勢が、北村様のお話からひしひしと伝わってきました。
お客様が指定した納期に間に合わせることはもちろん、お客様が望むクオリティ以上のものを製作できた瞬間はやりがいを感じます。
例えば、着色する色ひとつをとっても、お客様が望む色味に少しでも近づけるために「この方法でやってみてはどうか?」「この形で製作してみよう」など、従業員と何度も何度もすりあわせをします。
それにより、お客様に満足していただくだけでなく、ありがたいことに新たな発注をいただけました。製品を完成させるまでの過程は大変でしたが、従業員をはじめ弊社全体の技術力が高まったことを実感することができました。
まずは、お客様からのご要望にいつでも対応できるよう、仕事の脱属人化と並行して更なる効率化を進めていきます。
そして、優れた技術・ノウハウを持つが苦しい状況に直面している企業と連携を図り、弊社のみならず他社の成長も促せる形態づくりを目指します。
海外企業との競争は、今後より一層厳しくなると予想されます。加えて、新型コロナウイルスに対しても私たちができることだけでなく、同じ工場会のメンバーとともに協力し合い、感染拡大防止を後押しできればと考えております。
これからも、高効率と多岐にわたる加工技術を武器に励んでまいります。
岩戸ネームプレート工業株式会社の皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。
趣味はお酒を嗜むこと。終業後は、従業員と「お酒を楽しむ会」を開いており、お酒を通じてコミュニケーションを積極的に取られているようです。