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かぶしきがいしゃなみき・めでぃかるいんすとぅるめんつ株式会社ナミキ・メディカルインストゥルメンツ

Interview No.11

ハンドメイドの製品で医療の現場を支える 「医療器具のより良い明日」を切り拓く老舗職人集団

取材日:2018年7月3日

会社概要

ナミキ・メディカルインストゥルメンツ 看板

 現社長の祖父の並木茂雄が昭和4年に金属製医療機器の製造を始め、戦後の昭和24年に有限会社並木茂雄製作所を設立。平成25年に社名を「ナミキ・メディカルインストゥルメンツ」に変更し、産婦人科の病院へ医療器具の直接販売を開始。
 産婦人科で使用される膣鏡および脳神経外科で使用される吸引管の製造・販売およびオーダーメイドでの医療器具の試作品製作を行う。
 脳神経外科手術において「神の手」と称される世界的権威・福島孝徳先生も、ナミキ・メディカルインストゥルメンツ製造の福島式脳神経外科用吸引管を愛用している。

社長さん紹介

社長さん紹介 代表取締役社長 並木 和茂

 平成20年に代表取締役社長に就任。
 社長自ら工房に立って作業をすることが多く、看板商品でもある脳神経外科用吸引管の最も細い製品は、社長以外に作れない程の繊細な製品である。
 「住まいと職場が同じ建物の中なので休日でもよく仕事をすることが多く、多忙な日々を送っている」「妻にも日々戦力となって、総務全般等を手伝ってもらっていて、申し訳なく思っている」と、優しい人柄がうかがえました。

- インタビュー memo -

今年からトレッキングをはじめ、服装や装備を揃えて妻と関東近郊の山々に挑戦中。始めたばかりゆえかトレッキングに慣れている年配の方々に追い抜かれていくのが悩みとのことでした。

自社の強みは何ですか?
加工されたパイプ

 パイプの先端を徐々に細く加工する技術です。
 先代の頃から弊社ではこの技法に取り組んでおり、はじめは、ほぼすべての工程を手作業で行っていましたが、品質にばらつきがありました。満足いくクオリティになるまで時間がかかってしまい、製造初期は注文から3年待ちという時代もあり、福島先生や取引先をはじめ多くの方にご迷惑をおかけしていました。
 この状況を改善するため先代が試行錯誤を続け、後に私が引き継ぎ、効率的な製造方法を確立したことで、作業が大幅に改善しました。
 現在若手社員達が、パイプを細く加工できるよう修業をしており、順調に成長している姿に安心を感じています。


「神の手」と称される福島孝徳先生ご愛用の吸引管にその技術が用いられているのですか?
福島先生が来社された際の写真

 今までの吸引管ではON/OFFのみで吸引量の調節が出来ず、また管の部分も先端まで同じ径で強度に不安のあるものしかありませんでした。
 強度を確保するには「根本は太く、先端は細く」という形状にする必要があります。そこで販売業者さんのご協力の下、弊社の加工技術を用い、先生自身も直接開発に携わり、実際に使用される先生の意見を製品に反映しました。
 おかげさまで福島先生も「一番の自信作」「これが世界の福島式」と仰ってくださいまして、大変恐縮しております。(福島式脳神経外科用吸引管の販売元は株式会社フジタ医科器械様です。)

福島先生と並木社長

6月にタワーホール船堀で行われた
福島先生の公開講座後に撮影された写真。

従来品との比較

従来の吸引管(奥)とナミキ製の吸引管(手前)。
先端など形状の違いが見てとれる。

オーダーメイドでの医療器具製作を始めたきっかけを教えてください。

 もともと弊社は、祖父の代から医療機器を扱う商社の下請けで仕事をしていましたが、平成26年の夏頃に大得意先の担当者の方と責任者の方から、今後海外の製品を主力にするので取引が大幅に減少することを打ち明けられました。
 発展途上国製の医療器具は「安かろう悪かろう」という印象でしたが、ここ10年で大幅に進歩していました。それに加えて弊社の1/4以下の値段で、なおかつすぐ壊れることもないため勝負にすらなりませんでした。展示会で出展した際に「安心の日本製です」とアピールしましたが振り向いてももらえず、危機感を感じたのを覚えています。
 そこで、海外のメーカーに負けないような「強いニーズに裏打ちされた『何か』」を作らなければと痛感しました。そこで以前からの下請けの仕事をしっかりこなすことと並行して、医師の方々と共同で製品を開発し、それを自社ブランドで販売するという新しいビジネスモデルの構築を目指すことにしました。
 先生とのアポイントの取り方をはじめ、何から何まで手探りで分からないことだらけでしたが、懇意の得意先からノウハウを伝授して頂いて、江戸川区の経営相談室や東京都が開催しているマッチングイベントを利用して、次第に先生方にお会いすることが出来るようになりました。
 嬉しいことに、そこから始まった案件が何件かあり、その中から今年3つの製品を新発売することができました。
 そしてここでポイントとなるのが、「特許」です。せっかくアイデアをひねり出して作ってもどんどん真似されてしまいます。
 過去には製品自体は海外製にもかかわらず、弊社のカタログの製品を丸々1冊分模倣されたこともありました。その経験から他社に真似されないよう、開発した製品は可能な限り特許の出願をしています。
 また、新たなサービス・市場の創造と新しいものへのチャレンジ精神を江戸川区から評価して頂き、平成29年に「江戸川区産業賞」を受賞いたしました。

江戸川区からの表彰状 ナミキブランドの製品
プロの技

 医療器具は使われる場所ゆえ、ほんのちょっとしたバリなどがあっても即返品となるなど、非常に厳しい検査が実施されます。
 また、オーダーメイドの器具はお客様である医師の方と打ち合わせをしたのち試作品を作り、実際に使用して頂き、需要などを考慮した上で「ナミキ」の名前で一般販売します。
 こちらの膣鏡は、電気メスで患部を切除している際に煙で視界が遮られることがないような加工を施しています。

新製品の排煙膣鏡

新製品の排煙膣鏡。はじめはオーダーメイド製品としての案件から生まれた。

 また、こちらの器具は腹腔鏡手術用の吸引管で、腹部に穴を開け、そこからこの器具を挿入し、血液や切除した患部を吸引します。現在これよりも径の細い吸引管が出回っておりますが、高価で使い捨てのもので、その上よく内部が詰まってしまい手術を中断せざるを得ないという悩みを先生方が持っています。その悩みを解決するため、開発いたしました。
 また、手術時の効率や利便性向上のために、指でレバーを操作している間だけ稼働するよう工夫を施し、各部を簡単に分解し洗浄できるような構造に致しました。
 将来的にはさらなる改良を施す予定です。

吸引管

可動部分を取り外した状態の吸引管


社内の様子
社内の様子
研磨する従業員

 壁に並んだ道具の数々と、黙々と仕事に取り組んでいる従業員さんの姿が印象的でした。
 各部屋には「仕事を通じて幸せになる」という標語が掲示されています。従業員の皆さんが「いい仕事」をして、仕事の中に「幸せ」を見つけて欲しいというのが社長の思いとのことです。
 社長も日常的に工房で作業しており、作業工程や実際に道具を使って説明をして頂きました。「ニッチな製品を手作業で作っているので、ハイテクな機械は弊社にはないですよ」と謙遜されながらも、補助金を有効活用し新たな機械を導入しており、社内環境や業務改善に積極的な姿勢が垣間見えました。

今後の展開についてお聞かせください。
並木社長
 まず、目標は「ナミキのブランドを売上げの半分に育てる」です。
 今までは仕事のすべてを下請けとして請負っていたため、今後は、自社ブランドの確立と産婦人科や脳外科以外への販路開拓へ注力したいと考えています。
 自社ブランドについては、昨年から展示会や医学会の企業ブースへの出展をはじめました。弊社製品を愛用して下さっている医師の方から「ナミキさんの道具、とても使いやすくて良いね」とお褒めの言葉を頂き、非常に光栄に感じております。今後もユニークな製品を医師の方々と共同で開発し、市場に送り出したいと思います。
 また、産婦人科や脳外科以外への販路開拓については、おかげさまで歯科などの分野からのご相談も頂いています。営業体制の整備に取り組み、より一層の販路拡大を目指してまいります。
 「ナミキは小さな会社ながら、面白いことをやっている」と評価されることを目指して、これからも日本の医療の現場を支える先生方のため、病気と闘う患者さんのために、精進していきたいと思います。

株式会社ナミキ・メディカルインストゥルメンツの皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。

インフォメーション

ナミキ・メディカルインストゥルメンツ 社屋外観
所在地
〒132-0035
東京都江戸川区平井7-14-11
Google MAP
最寄り駅
■JR総武線 平井駅北口より徒歩10分
都営バス[上23]平井操車場行
 『平井西袋』下車 徒歩0分
電話番号
03-3610-0375
ホームページ
http://www.namiki-mi.co.jp/

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