戦時中に幼少期を過ごす。「負けるはずがないと信じていた日本の敗戦に大きな衝撃を受け、それ以降先入観や思い込みを捨て、あるがままの姿を見ることを心がけています。機械メーカーに就職後、海外に積極的に販売したいという企業の方針により単身アメリカでの駐在を命じられ、市場開拓をゼロから行いました。」
「当時の日本の製品はアメリカでは三流とみなされており、売り込みも改良も苦難の連続だった」と語ってくださいました。
かぶしきがいしゃきゃぷてんいんだすとりーず株式会社キャプテンインダストリーズ
Interview No.12
■取材日:2018年12月19日
会社概要
昭和49年に千代田区で創業。平成30年に創立44年を迎えました。
「省力化」を軸に、専門商社として工作機械およびロボットにかかわる周辺機器の輸入販売・メンテナンスを行っています。
独立当初は製品のメンテナンスに人員を割くことが難しく、周辺機器の取扱いを主に行っていました。業務拡大により製品のメンテナンス・品質管理に直接携わりたいと考え、昭和59年に工場を船堀に設立。その後平成3年に本社も船堀へ移転しました。
理念は「Automation for Affluence(豊かさを目指しての自動化)」人間の生活が豊か(affluence)になるための自動化(automation)にかかわる周辺的な製品を軸としており、創業時から変わらず持ち続けています。
社名の由来は、産業界においてハードとソフトの両面で国際間の貿易を推し進めるキャプテンとして、お客様、取引先の皆様と共に歩んでいきたいという思いから、命名しました。
また、ロゴマークは「船」と「はかり」を合わせたものです。
「船」は「七つの海を股にかけ…」という言葉があるように国際輸送の要として、「はかり」はビジネスでの正当性や均衡を示す、象徴としてそれぞれ取り入れました。
個人的なお話になりますが、かつてヨットを持ちたいという夢もありましたので、その意味合いも込めています。
2か国語で表記されており、本社と工場が同じ施設内にあることが一目で分かる。
「アフターサービス」に加えて「ビフォーサービス」も徹底して行うことです。
弊社は主に計測機器やシーリング材など、海外の一流の製品を輸入して販売しておりますが、ビフォーサービスとして現地で製品が輸出される際に品質検査で合格となっていても、到着後に必ず自社内で製品を確認し、お客様のもとに不良品が届いてしまうリスクを最小限に抑えています。
また、アフターサービスとしては、自社内に工場を有し、メンテナンスできる設備・環境を有しています。先ほど少しお話いたしましたが、アメリカ駐在時に代理店を通して全米に導入された工作機械に、日米のメンテナンス方法による違いから発生した不具合がありました。全米に何百台もその機械が導入されており、半年かけて修理して回った結果、現地の代理店や製造現場の方々から「ここまでしっかりと修理してくれた会社はみたことがない」と評価して頂き、信頼を勝ち取りました。
日系企業は「故障時の迅速なサポート」を行うことにより海外で高く評価されていますが、弊社は商社や他の企業以上にきめ細やかなサポート体制を築くことにより、長年お取引させていただいております。
代理店を通して製品を販売する企業は多いですが、私たちが取り扱う製品は特殊な機械のため、製品を熟知している必要があります。そういった経緯から「代理店を通さずお客様に直接伝えなければ」と考え、全国9カ所に営業所を設立いたしました。
海外とのお取引のきっかけといたしましては、やはり国内外の大きな展示会です。
世界トップクラスの製品を探すために、市場のニーズと製品の評価を把握したうえで欧米の展示会に足しげく通いました。その中でも私が最も重きを置くのは、メーカーの社長と会って話すことです。直接話すことで、トップの人柄や思考を知ることができます。そうすることで長いお付き合いができると考えており、おかげさまで現在でもお取引させていただいています。
主に海外の一流製品を輸入し、お客様のご要望に応じてオーダメイドで付属品の交換など加工を施しています。
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計測マシン
切削した穴などを計測する。従業員のスキルに左右されることなく正確に計測可能。自動的に計測データがパソコンに転送されるため測定漏れを防ぐ。
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安全柵
ロボットやフォークリフトの稼働区画等に設置して、区画を区切る。また、用途によって色の変更などが可能。
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テレスコピック
工作機械に取り付ける伸縮するレール。大きな荷重がかかる箇所に用いられる。
現在サンプルとして試験的に稼働させている製品です。
加工したい製品をアームで所定の場所に移動。加工が完了したら元の位置に自動で戻すことが可能です。
一日中同じ作業が可能で、単純作業を任せることができます。
ソフトウェアと連携し、加工する対象によって付属品の使い分けを行うことによって、加工の分野では幅広い応用が可能です。
その他、「省力化」を促進するために様々な工作機械を取り扱っています。人手不足が深刻な昨今、弊社は省力化を通して社会貢献をしております。
入り口には会長の像と企業ロゴの由来を刻んだパネルや、製品サンプルが並べられたガラスケースがあり、会長の事業への思いが感じられました。
品質検査、加工など作業内容に応じて各フロアを使い分けており、取り扱っている製品もサンプルとして自社内に置いているため、実際に稼働する様子や一連の流れを確認できます。そのため、製品の前で社員同士が打ち合わせをする姿も見られました。
海外製品が多く存在する中で、「こちらの蝶番とアルミ板で構成されている部品は、江戸川区の中小企業相談室を通して知り合った企業様に製作していただきました」と見せていただきました。
「当初はこちらの要望や技術力を満たす工場を探しましたが、なかなか見つけることができませんでした。そこで、中小企業相談室の方に相談したところ、この部品が製作可能な会社を紹介していただくことができました。この製品を製造する過程を通して、江戸川区のものづくり技術の高さを知ることができました。」と語ってくださいました。
弊社は工業機械を扱う業種ですが、測量・計測の分野にて世界的な企業であるヘキサゴン社と提携し、ソフトウェアの開発を進めていこうと考えています。
また、海外のメーカーが開発したソフトウェアを我々が代理店となり、日本中に広めていく計画も考案しており、工作機械だけに限定されない業態を築いていければと思います。
株式会社キャプテンインダストリーズの皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。
インフォメーション
- 所在地
- 〒134-0091
東京都江戸川区船堀4-8-8
キャプテンビルディング
- 最寄り駅
- ■都営新宿線 船堀駅南口より徒歩3分
- 電話番号
- 03-5674-1161
- FAX
- 03-5674-1190
- ホームページ
- https://www.capind.co.jp/
「1961年からアメリカ駐在だったが、その頃は都心から羽田空港まで高速道路もなく2時間近くかかった。」「東京オリンピックを生で見ることができず残念だった」と当時の思い出を嬉しそうに話す姿が印象的でした。