3代目として家業を継ぎ、この道36年。職人として伝統の製法と変わらぬ味を守り続けながら、ご自身が広告塔となり各メディアにも多数出演されています。
新製品開発にも積極的に取り組むバイタリティー溢れる社長さん。「“郷に入れば郷に従え、細々とやっていけば良い”と父からの教えもあったけれど、常に変化し、進み続けることを心掛けているよ!」と力強く、優しい眼差しで語って下さいました。
小川産業の製品が大人気なのは、社長さんの朗らかなお人柄と本物の味にこだわる信念や情熱からなのだと、お話していて感じました。
おがわさんぎょうかぶしきがいしゃ小川産業株式会社
Interview No.2
■取材日:2015年10月14日
会社概要
明治41年の創業以来、伝統的な製法を守りながら麦茶や、きなこなどの本物の味を伝え続けている老舗。“おいしくなる「ひと手間」を決して惜しまない”をモットーに、こだわり抜いて作られる製品は「美しく澄んだ透明感と、上品な味・香り」が特徴である。
製造から販売までを一貫して自社で行い、本社(工場)での小売から大手企業への卸売、インターネット通販、各所有名デパートでの販売、雑誌・テレビ等のメディア出演など、幅広く展開している。
お問い合わせをいただく中で感じるのは、当社の製品が少しくらい高くても“良いモノが欲しい!”というお客さまの気持ちに応えられているのだということです。
主力製品である『つぶまる®』は、昔ながらの石釜を使用し、麦の粒を砕かずに煎りあげた煮出し用の麦茶ですが、安価で手軽な水出しのパック麦茶に押され苦しい時期がありました。それでも“求められている味は変わらない”という信念で作り続け、今ではそれが“小川産業の魅力ある味”として受け入れられているのだと思います。
「取引先とはお互い“独自性とブランド力”が引き上がるような関係でいたいと思うよ。Win-Winが大切だよね!」と、人との繋がりを大切にされているお気持ちが伝わって来ました。
麦茶は、ご家庭で少し時間をかけて丁寧にじっくり煮出すことが何よりの「おいしい」の秘訣だと思います。親から子へと伝わる”家庭ならではの味”であり続けて欲しいと、作り手としての願いでもあります。
また、きなこのアレンジとしては「サラダ(きなこを生野菜にかけてフレンチドレッシングで食べる)」や「お味噌汁(お椀にきなこを適量入れて味噌汁をそそぐ)」がオススメです。意外な組み合わせですが、凄くコクが出ておいしいですし、何より良質なたんぱく質を丸ごと摂取できる健康的な食べ方ですよね。
「うちのはうまいよー!」と淹れて下さったワンドリップタイプの深煎り麦茶。とても香ばしい重みを感じながらもスッキリとした喉越し。まるで麦そのものを食したかの様な深い余韻が口の中に広がり、麦茶1杯でこんなにも満たされたのは初めてでした。
明治41年に祖父が創業し、家族代々で伝統の製法と味を守り続けてきました。信愛する父は私が幼い頃「強くなって欲しい」と柔道の道を勧めてくれました。その時の経験や身体作りは仕事をする上で役立っています。母は優しくて根性のある人でしたね。仕事に対する教えは“商売に負けろ(商売はじっと我慢、何があっても乗り越えなさい)”で、今も私の信念としていつも心にあります。
私は両親の想いを受け継ぎつつ「少しでもいいから前へ。前へ。」を意識してやってきました。今後も変化し続けなくては維持すらも出来ないと感じていますし、常に前を見て歩んでいきたいと思っています。
当社の主な製品は次の通りですが、その他にも、麦茶(ばらタイプ・紙タイプも取扱いあり)黒豆茶・川根紅茶・きなこ製品などがあります。
当工場での直売のほか、区内ではスーパー中村屋(三角店)やカルディでの購入も可能です。都内の有名デパートでの取り扱いを含め、インターネット販売やパルシステムとのコラボ商品も展開しています。
※パッケージの裏面には「とびきりおいしい麦茶のつくり方」の記載があります。
※パッケージの裏面には「簡易レシピ」の記載があります。
※パッケージの裏面には「美味しい淹れ方」の記載があります。
味を語る前にまず手に取って貰うため、製品が持つ“第一印象”を大切にしています。主力製品の『つぶまる®』も、パッケージからこだわりました。キャラクターは「小川産業の“家族”」をイメージし、ネーミングは目立つよう平仮名で設定しました。使用しているテトラバッグについても、割高ですが紙パック特有の臭みが出ず中身が透けて麦の様子が美しく見えることから取り入れました。
心がけとしては“チャレンジする気持ち”を忘れないことです。例えば、『深入り麦茶・ドリップバッグ』は、本来「油分のある原料(コーヒー)しかできない」とされていたドリップに挑戦し誕生した製品です。“人がやらないこと・面倒だと思うこと・全く売れなさそうなものにこそ可能性がある”と信じ続けることで、アイデアの種が芽吹くのだと思います。
『つぶまる®』のパッケージは特注品で、作業工程で出てしまう“麦の殻”が静電気でくっつかないコーティングがされているとのこと。製品のすべてに作り手の想いとこだわりが込められていました。
山積みになった原料一袋は10kg。従業員の皆さんは、それを軽々と持ち上げ運び、機械にセットする…を繰り返しテキパキと作業を続けています。生麦一袋が炒られ小麦色の麦茶となって出てくるまでわずか5分ほど。また梱包用パックロールの全長は約900m。それが3、4時間でなくなる程の作業量。「繁忙期は会社を挙げて家族総出で仕事しますよ」と作業中の真剣な表情と笑顔でお話して下さる皆さんのギャップにプロの心意気を感じました。
最近では海外に講師として赴くことが増え、今年5月には政府開発援助(ODA)からの依頼を受けアフリカ(スーダン)で、きなこを普及させる活動をしてきました。現地での栄養補給等に有効活用してもらうのが大きな目的です。
海外へ行くと、国や恰好や立場で人を判断したりせず、必死になって生きる姿までもが垣間見えます。私達日本人も一人ひとりが、もっとしっかり生きるべきだしこれからを担う世代の人々にも、そう感じて欲しいと願っています。当社では学生さんの見学受け入れを積極的に行っていますので、麦茶の味と一緒にそういった体験も含めてお話が出来ればと思っています。
平安時代から飲まれているという「麦茶」には気持ちを穏やかして体を冷ます効果があるとされ愛されてきました。未来へも、この味と想いをずっと伝えて行きたいですね。
小川産業株式会社の皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。
インフォメーション
- 所在地
- 東京都江戸川区江戸川6丁目31-4
- 電話番号
- 03-3680-4306
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 日祝祭日
- ホームページ
- http://www.jah.ne.jp/~ogawa-no/
お休みの過ごし方をお聞きしたところ「昔から体を動かすのは好きだね。でも一番はお酒が楽しみかな。飲まなきゃもっと良い動きなんだろうけどさ」と照れ笑いされるお姿も…。