祖父の代から3代目として事業を引き継ぎ18年目。大学卒業後、大手自動車部品メーカーへ修行のため就職。その後家業を継ぎ現在に至る。「私たちが作っている鋲は、普段は表に出ない地味な製品です。しかし、ものづくりには必要不可欠で、絶対に不良品があってはいけない非常に重要なパーツです。それを地道に地道に、ただただ真面目に、本業一筋で守って来ました。今までも、これからも変わらずに安定した製品づくりを行っていきたいです。」と柔らかい物腰しの中にも、揺るぎない信念が滲み出ていた社長さんのお姿はとても印象的でした。
もりせいびょう かぶしきがいしゃ守製鋲 株式会社
Interview No.6
■取材日:2016年11月10日
会社概要
大正6年リベット専業メーカーとして創業以来100年、一貫して圧造メーカーとして歩んでいる。顧客のコストダウンをお手伝いするプロとして、不良品をつくらない生産システムに挑戦しており、不良品発生率0.000003%を達成。また近年では様々なニーズにお応えすべく、圧造技術を生かして、VA提案を積極的に行いリベットから精密部品までをワンストップで生産。鋲は決して目立たない、しかし現代の生活に欠かすことはできないモノ。創意、熱意、人の和でより良き品を供給し社会に貢献し続けている。
本業である、「リベット専業」を貫きワンストップでの製造販売を行っております。そのため徹底的なコストダウンのお手伝いが可能な所です。当社の製品は1つあたりが「1銭・2銭」の世界です。納品数や用途に応じ、切削加工を微調整することで、結果的にコストを大幅に削減できます。また、納品先のスケジュールに合わせ、即日発注にも対応。工場内のオートメーション化により24時間体制で製品を作り続けることが可能です。
お取引先から即日大量に納品して欲しいといったご要望も多く、それを実現するために、スピーディーかつ不良品は出さないといった仕事が要求されます。とても小さな製品ですが、部品として重要な役割を果たしている鋲です。そのため当社では徹底的に不良品を作らない体制づくりを整えました。その結果、不良品発生率0.000003%を達成、生産量は国内トップクラスです。徹底した品質管理による製品づくりを実現しており、何よりの強みです。
初代から、本業一筋で会社を守り続けて来た事が、何よりの安定経営に繋がっていると感じています。100年を超える時代の中で様々な世の動きがありましたが、流されることなく「ものづくり企業」としての仕事をしてきました。
戦中、戦後には軍事用の部品製作に従事していた事や、民需により鍋を作っていた時期もありました。それでも基本は「鋲」に注力し続けました。製品として華やかさはありませんが、ものづくりの現場で欠かす事の出来ない重要な部品です。そのため不良品が許されません。そのクオリティーを維持するために、日頃からの堅実な生活や仕事への姿勢が重要と考えています。そのため、当社では人材確保時や育成に関して「真面目で堅実な人柄」を重視し教育を行っております。この社風に合ったスタッフが多く勤続年数も長い事が、事業を安定的に続けてこられた秘訣でもあると思います。
2代目である父からは、あれこれと言われた訳ではなく、仕事は見て覚える事が多かったと思います。多くを語らず、やりたい事をやらせてくれました。月並みですが、背中で仕事を教えてくれたと思います。そんな父や祖父の姿と同じ様に社長として体現していけたら良いのではと、今もそのように心がけています。また、社長就任前に勤めていた企業との関係も大きく、販路の拡大のきっかけにもなりました。もちろん、景気の浮き沈みなどから経営状況が苦しい時もありました。製品1つあたりの単価が安いため、見積り段階で円・銭・厘単位での厳しい交渉も多いのが現状です。そんな中で勝負するには、納品した製品の出来が全てで、それにより次のお取引に繋がります。私たちの事業スタイルはそういった製品の特性からも「堅実にコツコツと」が当たり前の姿としてあり、それによって培われた技術力、人間力、企業力による底力によるものと思います。
決算公告として貸借対照表を自社Web上で公開している事業所は江戸川区内でも少ない方だと思います。製品の紹介も重要ですが、当社の経営状況が安定している事を知って頂き、安心して取引して頂くための何よりの指標になると考えております。また、本業一筋で事業運営を行ってきた結果、安定的に会社資本を運用することが可能になっています。その背景を知って頂くためにも、公開に踏み切っています。
【守製鋲株式会社のホームページはこちら】
http://www.mori-seibyo.co.jp/
こんな部品はぜひご相談ください。大幅なコストダウンの可能性があります。
- 数量が5000個以上で
切削加工している部品 - 歩留まりの悪い切削部品
特に丸いカタチの部品は可能性大 - 製造工程が多岐に渡り、冷間圧造後切削プレスなどの工程がある部品
冷間圧造に徹して80年、技を磨いてきました。金型を自社で微調整して公差の厳しい部品を作る技術や、自社で研究開発した貫通ピンによる中空・貫通加工などを得意としています。
ー特殊部品制作寸法範囲ー
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■中空部品
太さ:Φ0.6~Φ14mm
長さ:1~100mm -
■貫通部品
太さ:Φ2~Φ12mm
長さ:2~40mm -
■リベット
太さ:Φ0.6~Φ16mm
長さ:1~150mm
【取扱材質】SS、AL、AL合金、Cu、Bs、SuS、その他
3人のお子さんの父でもある社長さん。「子どもたちの成長とともに、多感な時期が乗り切れるか?と不安もありました。 そんな時、中心でみんなを癒してくれたのは4人目の”子”の「リト」(右写真)です。リトの話題になるといつも以上に会話が弾みます。 しぐさも表情も人間そのもの。かけがえのない家族の一員なんです。」と語って下さった時の表情は”イクメン”そのものでした。
また、そういった精神を理解してくれる社員が多くおり、一緒に製品づくりを長年続けられることを誇りに思います。当たり前がそこにある、その一助になれているという実感が、ものづくりを支える立場としての何よりのモチベーションだと思います。
守製鋲株式会社の皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。
インフォメーション
- 所在地
- 東京都江戸川区中央2-19-14
- 最寄り駅
- 都営バス「新小29」
『NTT江戸川支店前』徒歩1分 - 電話番号
- 03-3651-0136
- FAX番号
- 03-3655-0838
- ホームページ
- http://www.mori-seibyo.co.jp/
弓道部の監督として学生に指導していたこともあるという弓の腕前をお持ちの社長さん。「全国大会へ導くため、毎日数時間かけて生徒たちが待つ学校へ向かい、夜遅くまで指導していた頃が懐かしいです。」と目を細めながらお話して下さいました。武道を極めた凛とした佇まいと、美しい立ち姿がとても印象的でした。