みやこ食品は創業61年目の弁当の製造販売業をしております。従業員は67名。
今の中心は高齢者配食サービスといいまして、毎日2000人の一人ぐらいの高齢者に365日、年中無休で安否確認をしながら温かい食事を届けています。
現在は東京の7区の行政(港区・中央区・台東区・江東区・墨田区・葛飾区・江戸川区)から委託を受けて区から平均200円、お客様からは平均500円いただき、200円いただく代わりに手厚い安否確認をする仕事です。港区の六本木ヒルズのマンションの47階にもお弁当を1食だけ届けます。車の入れない下町の細い路地の商店街は歩いて歩いて一つだけお弁当を届けます。
現在は高齢化社会なので、いい仕事ですね、ついてますねなどよく言われますが、どんな仕事も同じだと思いますが、だからこそ大手やフランチャイズの参入が相次ぎ、競争が激化しています。例えば、港区は1社独占だったのが、現在は8社のライバルが参入しています。
そんな中、亡き創業者が言っていた『お客さんの喜ばれることをやっていれば、儲けは自然についてくる』という教えを意識して、当社は2つの差別化に取り組んでおります。
ひとつはお弁当の差別化です。
大手は、ごはんとおかずを一緒に盛り付けて効率よく大量生産し、渡すときもドアのノブにかけて帰ってしまうなど効率ばかり優先し、勝手に安売り競争をしてくれています。
当社は価格競争に巻き込まれないように、おかずとご飯と毎日日替わりの手作り味噌汁は車で温めながら、又、デザートとサラダは冷やしながら4種類の容器で届けています。届けた後も冷めないようにおしぼりを温める機械を無料で貸し出しています。又、例えばメインの肉が苦手な方は、魚やコロッケに変更して届けています。
もう一つの差別化は、安否確認です。
当社ではできるだけ家の中まで入ります。寝ている人は起こします。起こすと怒られる頑固なお爺ちゃんは寝息を聞きます。寝たきりの方はベッドまでお持ちします。
少しでも体調の悪い人はケアマネージャーやご家族に電話で伝えます。配送員には、『自分の両親や祖父母だったらやることは、ご利用者様にもやろうよ。』と伝えています。
又、いつもこたつにいるおばあちゃんがそこにいなければトイレや風呂場を確認します。残念ながら1年に一人二人はそこで亡くなっている人を発見しますが、それ以上に何十人という方を救っているというとおこがましいですが、そこまでのことをやっていますので、娘様などから泣いて喜ばれることもたくさんあります。
どこもやっていないお弁当と安否確認の2つの差別化を徹底することで他社より200円くらい高く売り、安売り競争に巻き込まれないで、毎年従業員の収入を上げられるように工夫しています。
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