ベンゾジアゼピン系睡眠薬依存
最終更新日:2024年01月24日
こんや鍼灸治療室
(平井1丁目)
80歳代女性。首と肩の凝りを訴えて来院しました。
2世帯住宅で玄関もキッチンも違うため気楽なのですが、炊事で10分も立っていると首が辛くて立っていられないとのこと。
お薬手帳を持参していた(既往症がわかって話が早いのです)ので見せてもらうと降圧剤(カルシウム拮抗薬とARB)、ロキソニンと胃薬、そして精神科の薬が4種類も(抗うつ薬+抗不安薬+睡眠薬2種類)ありました。
この仕事をしているとメンタルに不調のある方、睡眠状態に不満がある方がとても多いのがわかります。
このメンタル4剤の経緯を聞かせてもらうと、40歳代からのお姑さんとの関係から抑うつ症状と不眠が始まったことが判りました。歴史が長いのです。
既に20年以上前にお姑さんは亡くなっているのですが、そこからも症状は変わらずに続いているそうです。
つまりきっかけはお姑さんなのでしょうが、昔ながらの嫁と姑の関係性と考え方、性格、更年期を含む体力の変化などいろいろな要素が考えられます。
それに加えて、彼女の辛い気持ちや眠れぬ夜を支えて助けてくれたであろう、これらの薬のもう一つの側面も考えない訳にはいきません。
精神科で処方されている抗うつ薬は歴史の長い三環系の抗うつ薬(トフラニール®)でしたが、残りの三つ、抗不安薬と2つの睡眠薬は全てベンゾジアゼピン系でした。
エチゾラム、ブロチゾラム、エスタゾラム(ジェネリック薬が出る前の商品名はデパス、レンドルミン、ユーロジン)の三役揃い踏みです。
ベンゾジアゼピンはアルコール、アンフェタミン(覚せい剤)と同等の依存性、身体的損害があると報告されています。(2007年 ランセット)
ですが抗不安薬、睡眠薬としてはとてもよく効くために広く使用されているのが現状です。その代わりというか副作用として依存性、そして耐性(続けて使用していくうちに効力が低下していくこと)が出てきます。
この患者さんも一足飛びにこの処方ではなく、色々な経緯を経てこの処方に落ち着いたのだと思います。
鍼灸師のできることとしては、継続的な治療でこの慢性的な首と肩(~背中)の凝りを緩めることによって心身ともにリラックスすることができれば自ずとベンゾジアゼピン受容体に働きかける薬の量も減っていくのではないかと思っています。
睡眠薬としての切れ味、価格などの問題はありますが個人的には依存性、耐性のないオレキシン受容体拮抗薬(覚醒のスイッチをオフにする薬)などに移行していってほしいと考えていますが。
まだ4,5回の治療ですが思いのほか楽になったようで継続して通ってくれています。やはり薬で眠らされるのと多少なりとも身体が緩んで眠るのでは入眠、睡眠の質はもちろんのこと、日常生活全体の質も変わってくるのではないでしょうか。
基本情報
- 事業所名
- こんや鍼灸治療室
- ふりがな
- こんや はりきゅう いん
- 代表者名
- 鍼灸師 近谷 “ハリオ” 良平
- ふりがな
- こんや りょうへい
- 営業時間
-
月、火、水、金、土曜日 9:00~18:00
日曜日 午前のみ
祝祭日 午後のみ(12:00~18:00)
予約は1時間前までにお願いいたします - 定休日
-
木曜日
- 電話番号
- 03-3636-0050
- Webサイト
- https://s-thoughts.com/
- 問い合わせ
- 所在地
- 〒132-0035
江戸川区平井1丁目4−19 - アクセス
-
平井駅から京葉道路方向へ徒歩11分
小松川三丁目バス停からは徒歩3分(京葉道路から平井駅方向にバス通り右側を約150m) 歩行者専用横断歩道(信号)そば
☆日曜午後は船堀駅から徒歩5分(予約時にお問い合わせください)
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