「田井塾」科学啓蒙作家:-真理を求めて(13)-
最終更新日:2026年08月21日
科学啓蒙作家の塾「田井塾」
(北小岩3丁目)
序 奏
●ノスタルジー●
・・・・・Richard Clayderman・・・・・
** 「田井塾」科学啓蒙作家:-真理を求めて(13)- **
・少年 ・・・ あれですよね、前回ボクはカッシーニの研究の結果
から、研究の仕方がかなり大ざっぱだって言ってしまいました。
・私 ・・・ だね。でもね、その時代その時代の持ち得るあらゆ
る方法を使って研究が行われているわけだから、大ざっぱって
ことはないんだ。
・少年 ・・・ はい、分かりました。けど、たとえば、地球と木星
の距離が最短の時に測定して得られた□分と最大の時に測定し
て得られた△分が大ざっぱでないってことですけど、
どうしてそう言えるんですか?
・私 ・・・ あのね、科学の世界には「再現性の原理」というと
ても大切な原理があるんだ。
・少年 ・・・ サイゲンセイのゲンリ?
・私 ・・・ そう。つまり、カッシーニが自分が研究した結果を
発表した場合、その研究内容を他の研究者が再現しても、必ず
同じ結果になるということだ。
・少年 ・・・ フムフム、なるほど。ということは、その研究が再
現されない場合もあるってことですよね。
・私 ・・・ だね。たとえば、カッシーニの研究と関連するよう
な研究をしている研究者がいなかったり、あるいは、その研究
結果が興味を持たれなかったりする場合がそうだね。
・少年 ・・・ カッシーニの場合はそのどっちだったんですか。
・私 ・・・ 前回紹介したレーマーという科学者が、カッシーニ
と同じ実験を繰り返しているんだ。つまり、彼がカッシーニの
実験を再現することによって、その過程でカッシーニ
がいかに難しい実験をしているかというこ
とを知り、しかもそればかりか
カッシーニが気付かな
かったこと、
・・・
・少年 ・・・ あっそうか、ここなんだ、つまり、最大の距離の方
が最小の距離の場合より、衛星のイオが木星の裏に入る時間が
22分遅れてるっていうことですよね。
・私 ・・・ そう、その理由をレーマーが明らかにしたわけだ。
・少年 ・・・ つまり、この科学者がカッシーニの研究に助言をし
たっていうことですか?
・私 ・・・ 結果としてはそうだね。ただしね、ここで大切なの
はレーマーがカッシーニに言葉で直接アドバイスしたんじゃな
く、論文として発表したということなんだ。
・少年 ・・・ これって、卑怯じゃないですか? レーマーがカッ
シーニの研究を自分の研究として発表したんですよね。
・私 ・・・ それではね、もしレーマーが発表しなかったらだよ、
カッシーニは22分遅れる原因に気付いていたかどうか。もち
ろん、いつかは気付いていたかも知れないけど、こ
れを言っちゃ切りがないね。実は、ここに
はもっと重要な意味が込められて
いるんだよ。
・少年 ・・・ フムフム、何だろう。
・私 ・・・ 論文というのはね、科学者が自分の研究成果を少し
のミスもなく、慎重に書き上げるものなんだ。どうですか、も
しね、カッシーニの研究がキミの言う大ざっぱなもの
だったとしたらだよ、レーマーは自分の大切
な論文をだよ、そのような結果をも
とにしてはたして書く
だろうか。
・少年 ・・・ そういうことか。ですね。レーマーがカッシーニの
研究を認めているから、つまり、大ざっぱなものじゃないって
認めているから、自分の論文にその結果を取り入れて
いるってわけですね。
・私 ・・・ ここでもう一度整理するとね、カッシーニが木星の
表面の模様を観察したり、また衛星のイオが木星の裏側に入る
時間に地球と木星の距離が最大の時と最小の時とで22
分の差があることに気付いたんだった。
・少年 ・・・ フムフム、なるほど。これを知ったレーマーが再現
実験をすることによって、この22分の差は、光が地球の公転
軌道の直径を横切ってくるために掛かる時間だちゅう
ことに気付き、そして論文として発表したん
でした。
・私 ・・・ 実はね、カッシーニはレーマーのこの結論に猛反対
してるんだ。
・少年 ・・・ どうしてかな? 自分の考えと違っていたんだね、
きっと。それでもレーマーは自分の考えを主張したってこと
ですか?
・私 ・・・ そうだね。この頃は地球の公転軌道の直径が、もち
ろん、まだおおよそだけれど、すでに分かっていたんだよ。
・少年 ・・・ ということは、この直径の距離を22分に60を掛
けた値の1320秒で割ってやると、光の速さが分かるちゅう
ことですね。
・私 ・・・ そう。こうして光の速さを求めたらね、それは毎秒
約22万7000kmだったんだよ。
・少年 ・・・ 実際の速さは毎秒30万kmですけど、これって近
いって言えるんでしょうか。
・私 ・・・ そうだね。この求められた数字が当時としては、も
ちろん、実際の値に近いかどうかはまだ分からないよ。でも
ね、この数字がかなり画期的だったことは間違いな
い。何しろ、これで光の速さが無限でない
ことがはっきりしたわけだから。
・少年 ・・・ でも、何てったらいいのか、あれですけど、レーマ
ーは良いとこ取りしちゃってるって感じがするんです。カッシ
ーニは地球の公転軌道の直径を1320秒で割ること
に反対してるんですよね。
・私 ・・・ レーマーはカッシーニの研究を評価し、そして結果
として光の本質に触れることが出来たわけだ。この点ではカッ
シーニはレーマーに感謝していると思う。しかし、真
理を究めようとする立場に立ったとき、カッ
シーニは彼の結果に納得出来なかっ
たというわけだ。
・少年 ・・・ ちゅうことは、ここでレーマーの方が正しいって言
う科学者とカッシーニの方が正しいって言う科学者が出て来る
って思うんですけど。
・私 ・・・ 実は、ここにはね、研究者が自分の研究が「真理」に
向かって突き進んでいるかどうかを判断するための目安が存在
してるんだよ。
・少年 ・・・ そんなに大切なものなんだね。
・私 ・・・ これについては次回議論しよう。
・少年 ・・・ はい、次回ちゅうことで。
●●今日も一日感謝の心で●●
基本情報
- 事業所名
- 科学啓蒙作家の塾「田井塾」
- ふりがな
- かがくけいもうさっかのじゅく・たいじゅく・
- 代表者名
- 田井正博
- ふりがな
- たいまさひろ
- 営業時間
- 14:00~21:30
- 定休日
- 日曜日
- 電話番号
- 03-3671-1002
- Webサイト
- https://inter-tai.com/
- 問い合わせ
- 所在地
- 〒133-0051
江戸川区北小岩3丁目25-19 - アクセス
- 京成江戸川駅前通りを蔵前橋通りに向かって徒歩1分








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