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かぶしきがいしゃえー・あい・えす株式会社エー・アイ・エス

Interview No.19

実力は、見た目以上― アナログ+デジタルで曲げ加工・溶接技術向上に挑む技能集団

取材日:2021年11月11日
(公開日:2022年1月26日)

会社概要

エー・アイ・エス 社屋外観
エー・アイ・エス 社屋外観

 平成12年に平井にて創業。前身である株式会社天野電機製作所より独立し、平成24年に現在の場所に移転。創業時から続く、鉄やステンレスといった金属の曲げ加工および溶接を得意としており、官民問わず納入実績多数。
 デジタル技術を導入することにより、業務の進捗状況の「見える化」やIoTを活用した溶接訓練で職人一人一人の技術の向上を実現している。町工場ならではの横のつながりも活かし江戸川区内外の企業とともに溶接技術向上に向け、日夜研究開発を行っている。

社長さん紹介

社長さん紹介 代表取締役社長 石岡 和紘

 前身である天野電機製作所の創業の地を守りたい一心から、平井にて両親とともにエー・アイ・エスを創業。平成16年に代表取締役に就任。創業当初は苦難の連続だったとのこと。
 「かつて江戸川区の法人会で副会長も務めた祖父や幾度となく経営の危機を乗り越えてきた両親、そして弊社が不安定な状況下でもお仕事を発注してくださったお客様の期待に応えるため、臥薪嘗胆の精神で頑張ってます!」と、熱意あふれるお話を伺うことができました。


- インタビュー memo -

「繁忙期や工場移転の際など、従業員にはいつも助けられてます」と、インタビュー中も従業員の方々に対して感謝を忘れない謙虚なお姿が印象的でした。

社名の由来を教えてください。
エー・アイ・エス ロゴ
エー・アイ・エス ロゴ(ホームページより)

エー・アイ・エス(A.I.S)のAは私の祖父にあたる創業者・天野二郎。天野電機製作所を引き継ぐという想いがまずありましたので、そのAを取りました。
Iは石岡、Sは製作所、ということで「AIS」。
はじめは『石岡製作所』と考えておりましたが創業した平成12年は21世紀を迎える年でしたので、「21世紀を迎えるにあたり時代に合った響きが良い」という母の想いのもと、『エー・アイ・エス』という社名にいたしました。


御社の強みは何ですか?

 弊社は、専用設計の箱もの等の製作を最も得意としております。現在多くの工場に設置されている曲げ加工用機械は、デジタル制御をされており、ある程度の角度や寸法を比較的簡単に加工することが可能です。しかし機械の規定以上の寸法には対応できません。そこで弊社では人の手で操作するアナログな機械も一緒に活用することで、他社では折り曲げられない角度も対応可能となります。加えて、タレットパンチプレスによる打ち抜き加工では350以上の多種多様な金型を保有しており、難しい案件に応えられる点も強みです。


3台の赤いプレスブレーキ(曲げ加工機) 写真

工場内に設置されている3台の赤いプレスブレーキ(曲げ加工機)。用途に応じて使い分けている。

プレス機にかけられた鉄板とプレス機 写真

プレス機にかけられた鉄板(写真手前側)とプレス機(写真奥)。

強みを活かし、どのような製品を製作していますか?
エー・アイ・エスの製品(パンフレットより)
パンフレットには、日常生活で見かける製品も紹介されていました。

 皆様がよく見かけるものだと、家庭用給湯器の配管カバーです。都市部のマンション等では標準のカバーを取り付けできないことが多いため、弊社にて特注カバーの製作を手掛けています。
 また、8メートルの天井高を持つ社屋を有し、この天井高を活かした大型製品の製作も可能で、某大手メーカーの大型トレイを製作させていただいたこともあります。
 その他、制御盤や配電盤など一般の方の目に触れる機会の少ないものも多く手がけておりますが、生活インフラに関する設備やセキュリティの面で皆様の日々の生活に貢献しています。


ITやデジタル技術の導入に力を入れているようですね。
コンテキサーの画面
コンテキサーの画面(一例)。「着手」「作業中断」「完了」といったボタンがあり、作業担当者や進捗状況、残りの工程がいくつあるかが一目で分かる形となっている。

 弊社のような町工場は多品種・小ロットが基本となるため、繁忙期ともなると納期確認の連絡が非常に多く、各案件の進捗確認に非常に時間がかかっていました。
 かつては紙やホワイトボードに状況を記入していましたが、作業が重なると優先順位が分からなくなるトラブルが起きることもあったため、大学教授が開発した『コンテキサー』という生産管理システムを、カスタマイズを施したうえで導入することにしたのです。
 はじめは現場の従業員から難色を示されましたが、製品ごとの進捗状況や情報が誰でも分かりやすく見えるようになったことで、次第に従業員が率先して情報共有を行うようになり、定着していきました。
 導入から定着まで5年ほどかかったものの、生産性向上やものの流れがスムーズになったと実感しています。
 また、このコロナ禍を変革のチャンスととらえ、女性従業員が活躍できる場を模索し、3D CAD の操作に挑戦してもらっています。「こういうものを作ってみたい」「こういうアイテムがあれば良いな」など、女性ならではの柔軟な発想力も含めて、様々な分野に挑戦できる環境の整備に邁進中です。

生産性を上げるために実践していることについて教えてください。
作業中の従業員
生産管理システムとスケジュール表を確認する様子

 業務予定を作業者自らの裁量で判断してもらい、スケジュールを組んでもらう「TODOリスト」を作成しています。
 以前は私が急ぎの製品について常に指示を行っておりましたが、ものづくりをやっているよりも『作業をやらされている』感じの方が強かったと感じております。しかし、情報の見える化をすることによって、自分たちで計画を立て、工程の優先順位をつけて予定を立てていくことが可能となりました。自分主導のものづくりができるため、従業員自身のモチベーションが大きく向上してきたと感じています。
 かつて、「図面がないので分からない」「こんな仕事は間に合わない」など、部署間の連携にも課題はたくさんありましたが、業務工程の「見える化」をすることで後工程の作業担当者も常に進捗状況や図面を確認でき、『いつ、どんな業務が回ってくるか』が判断できるようになりました。現在は同じ納期の案件が同時に来ても、従業員自身でスケジュールを立ててスムーズに対応できています。

溶接技術研究にもデジタル技術を用いていると伺いました。

 ハイスピードカメラやモーションセンサーといった機器を用いて、作業者の動きをデータとして収集し、研究を行っています。
 ゴルフのスイングのようにトーチの角度やスピードなどを数値化し、お手本となる人の様子もデータとして残すことで、指導者がその場にいなくても効率的に自主練を行うことが可能で、この取り組みが製品の品質や従業員の技術力向上に結びついています。

溶接実践の様子

溶接実践の様子。他にも各所に取り付けられたカメラやセンサーを用いて正確な作業データ収集を行う。

溶接データ詳細画面

溶接データ詳細画面。材質や溶接種類だけでなく、電極の径、電極先端角度、電流やパルスに関する項目まで詳細に記録可能。

『ものづくりのワ』に参加されているとお聞きしました。
Oさん 業務中の写真
自ら「溶接やりたい!」と溶接IoTプロジェクトに立候補したOさん。検査部署の所属だが、溶接をはじめて数ヶ月でみるみる上達した才能の持ち主。


ものづくりのワ ロゴ
『ものづくりのワ』のロゴ

 『ものづくりのワ』は業務管理や人材育成、そして技術開発において連携し合い、業務効率化をはじめ『洗練されたものづくり』を目的として複数企業により発足したプロジェクトです。現在本活動は今野製作所さんとcreative worksさん、そして我々エー・アイ・エスの三社で進めています。本活動は、当社のIT化の推進や業務プロセスの整理に大きく影響しました。
 生産管理システム導入には大きな投資が必要でしたが、ものづくりのワのメンバーと費用を折半することで、手の届く金額で導入できました。
 現在は東京都立産業技術研究センターとの共同研究で、IoTを用いて熟練の溶接職人が持つ技能をデジタルで習得する研究を進めています。弊社でも未経験だった若手女性従業員が参加し、溶接技術を磨いています。自社のみで社内のIT化を進めていくよりも効率的にIT導入や業務プロセスの整理をすることができ、なおかつ本活動で各社と連携していく中で『生産性は上げるものではなく上がるもの』だということに気づかされました。

 働き方も変化していく中、自社の工場で全て行うよりも他社とお互いに協力し合うことで、ものづくりも、より活性化していくのではないかと考えています。

【東京町工場ものづくりのワ】サイトはこちら
http://www.machikoba.tokyo

社内の様子 社内の様子

工場内および各機械の前で業務のご説明をされている従業員さんの様子


環境対策優良事業所 表彰盾
江戸川区環境対策優良事業所の表彰盾

 巨大なプレス機をはじめ複数の機械がせわしなく稼働し、町工場という雰囲気を醸し出しつつも、随所に整理整頓が行き届いており、クリーンな印象でした。移転当初は年季が入った社屋でしたが、石岡社長だけでなく従業員も一致団結し、移転にあわせて皆で綺麗にしていったとのことです。

 「社屋の周囲には住宅が多くあり、騒音には細心の注意を払っています。新型のプレス機を導入した際、稼働音が大きく操業や近隣住民の生活にも支障をきたすほどのものでした。そこで江戸川区に相談し、さまざまな騒音の原因をひとつひとつ解消していきました。時には従業員とともに私も遮音材設置や隙間のシーリングなど騒音対策に取り組み、おかげさまで現時点で苦情は1件も来ていません。さらに、その取り組みが評価され、江戸川区長様から表彰されました。」と、騒音対策を徹底して行っている様子が伺えました。

- インタビュー memo -
ミドリガメのカメ吉
人間以外の従業員もいるとのことで、ミドリガメのカメ吉を紹介いただきました。
「ある日従業員が会社の階段下で発見し、数か月ほど貼り紙等で飼い主を探しましたが現れず、それからは弊社従業員として採用しました。」というユニークな経緯でエー・アイ・エスに入社し、現在は受付を担当しているとのことです。
印象的なエピソードを教えてください。

 昭和15年に前身の天野電機製作所が創業し、平井で半世紀以上事業を行っていましたが、平成12年に区外へ工場移転が決まりました。突然のことで離れていく従業員も少なくない中で、平井の工場を借り受け、設備を引き継ぐ形で弊社創業に至りました。
 その後創業から13年目に、天野電機製作所から平井の工場を買い上げるかどうかの選択を迫られました。何とか移転先として今の工場を見つけましたが、移転に異を唱える声が多く出たのを覚えています。
 かつて天野電機製作所移転の際に多くの従業員が離れていったように、今回もまた従業員が離れてしまうのでは、という恐怖がありました。ですが、移転先での仕事始め当日は従業員全員が揃って出社してくれました。あの日のことは私にとって忘れられない一日です。

今後の展開についてお聞かせください。 お話しをする石岡社長

 地方の大きな工場と比べ、私たち都内の町工場は「同じような会社が協力して1つのものを創り出していける」ということが強みだと考えています。社長同士だけでなく、それぞれの会社の社員同士での交流を活発にできるよう動いていく予定です。『ものづくりのワ』で連携している企業とも将来的には単なる連携ではなく組織化し、この工場を後世に引き継いでいくために教育や営業活動の面で協力していく選択も良いのでは、と感じることも多くあります。
 ものづくりのワに参加している他の企業も溶接IoTシステムを用いており、各社でデータを蓄積していくことで実用的なデータも生まれてくる、と確信しています。海外に拠点ができた際も電話回線一本で元となるデータと同様の溶接が出来ることを目指し、活動を継続していく予定です。
 曲げ加工や抜き加工など弊社が行っている工程は自動化が進みつつあり、競争は一層激化しています。その中で生き残っていくため、IoTを用いて熟練の職人のアナログ技術をデジタルへ変換し、次世代の若手職人とともに会社を成長させていけるよう、今後も積極的に取り組んでまいります。


株式会社エー・アイ・エスの皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。

インフォメーション

株式会社エー・アイ・エス 社屋外観
所在地
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東京都江戸川区西瑞江4-15-15
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