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はりまさかぶしきがいしゃ張政株式会社

Interview No.16

「伝統と革新」をモットーに― 関東で唯一織物の仕上げを担う張り屋

取材日:2020年1月30日

会社概要

張政 看板

 昭和28年に江戸川区東小松川で創業。生地の長さを均一に整える織物整理業と生地に模様を施す染色や防炎、防菌など生地に様々な機能を付与する繊維加工業を行っている。
 創業時から続けている織物整理業は、高い仕上げ技術を保有しており、取引先からも好評を得ている。特に、浴衣は相撲・歌舞伎などの業界に愛用者が多い。
 現在は『関東唯一の張り屋』として織物整理業・繊維加工業を続けるほか、自社で製造した和装小物品の販売を始めるなど一般消費者をターゲットとした販路開拓も行っている。

社長さん紹介

社長さん紹介 代表取締役 中山 博善

 「伝統と革新」をモットーに、4代目社長として先代の社長である父から会社を引き継ぐ。自社に活かせるアイデアを常に考えており、業界の情報収集には余念がない。
 「お客様から、厳しいお言葉をいただくこともありますが、仕上がりや精度の高さを評価していただけることや、展示会に出展した際、足を運んでくださるお客様が喜ぶ姿を目の前で拝見できることは非常に嬉しく感じています。」と、ものづくりのお仕事ならではのやりがいをお話ししてくださいました。


- インタビュー memo -

幼少期から続けている野球の経験を基に、監督として少年野球チームを指導することも。土日も精力的に活動しており、お忙しい中でもプライベートを充実させている様子がうかがえました。

社名とロゴマークの由来を教えてください。
張政株式会社 ロゴ

 曾祖父である初代社長が政吉という名前で、『張り屋の政吉』という愛称で呼ばれていました。その愛称を省略した『張政』が社名の由来となっています。
 平成29年10月まで『張政織物整理』という社名でしたが、現在は織物や浴衣だけにとらわれず様々な繊維加工も行っており、「織物整理」という文言が世間一般の認識が薄れていることを踏まえ、短くシンプルに『張政』としました。
 ロゴマークにあるL字形の部分は『張る』という意味。また『正』の字は正しく整えるという意味を込めています。

自社の強みは何ですか?

 浴衣がお客様の手に届くまで、大きく分けて生地屋、染め屋、張り屋、問屋の4つの事業者を経由します。弊社はその中の『張り屋』を創業当初から営んでいます。
 創業から60年以上培った仕上げの技術は、取引先からも高く評価され、関東のみでなく関西からも織物整理の依頼をいただいております。
 また、取引先からの依頼に対応できる幅を広げるため、試行錯誤や情報収集を重ね、新たに「水洗い」という整理加工も増やしました。
 現在は、『関東唯一の張り屋』として日々奮闘しています。


2種類の反物

加工前は幅や端の形が不揃いだが、加工後(写真)は非常に美しく整えられている。

ローラー状の水洗い用機械

今年から本格的に始めた水洗いによる整理加工。薬品の配合や設備を工夫することで、加工できる種類を広げた。

自社で作られている製品をご紹介ください。

 弊社は、織物整理・加工が主な事業ですが、バッグやストールなど自社で製作したオリジナル製品の販売も行っています。お客様には大変好評であり、イベント出展の際には、毎回足をお運びいただく方もいらっしゃいます。
 また、ホームページを通じて海外の方から「こういう製品はありますか?」「イベントを行うので、こういった製品は作れますか?」というお問い合わせもいただくため、オーダーメイドの対応もしております。
 反物をはじめ、巾着袋や手ぬぐいといった和装品は以前と比べると受注は減っておりますが、確実にニーズはあります。弊社製品を様々な方が手に取ることによって、江戸川区に「張政」という会社があることを知っていただく一つのきっかけになればと思っています。

製品情報
  • 巾着袋 写真
    巾着袋
  • ハンドバッグ 写真
    ハンドバッグ
  • ランプシェード 写真
    ランプシェード
非常に珍しい加工機械があるとうかがいました。
艶出しの加工機

写真1 艶出しの加工機

 創業時から現役で活躍している生地の艶を出す機械(写真1)は、国内では弊社にしかありません。ローラーの部分が紙でできており、生地を間に通す際に圧力をかけ、生地の目をすりつぶすことで光沢が生まれます。こうして機械にかけた生地は、呉服や綿素材の服の裏地として使用されます。

生地を柔らかくする加工機

写真2 生地を柔らかくする加工機

 水車のような機械(写真2)は、生地を柔らかくする機械です。生地を左上の四角い窓の部分から投入します。水車のように高速で回転し、中で生地が上下に落下することで、圧力が加わり生地が柔らかくなります。こちらも導入して30年近く経過した今も現役で稼働しています。

社内の様子

 作業の特性上、大量の蒸気が発生するため、天井が腐らないように高く設計されている社屋。かつて、軍の食品庫として戦時中から存在しており、歴史と風情を感じさせる建物でした。1階は加工工場、2階は仕上げを行う部屋となっています。
 整理加工された生地を納品するまでには様々な機械を使用しますが、機械のみでなく所々に職人の丁寧な手作業が含まれております。この手作業によって、機械だけでは限りのある仕上げ技術を一つ上に引き上げていることがお見受けできました。
社内の様子

- インタビュー memo -
注染用型紙
注染用型紙 裏面

織物加工の一種である「注染(染色)」用の貴重な型紙をお見せいただきました。
「注染の染色方法は、生地とこの型を組み合わせて模様を描きます。何十年も前に作られた型紙で、型の裏面には使い方や色の指定が詳細に記されております。今の生地をこの型で染色すると、現代的な雰囲気の中に古風なデザインが絶妙なバランスで合わさり、素敵な反物ができあがります。」と、長年に渡り和装品に携わってきたからこそうかがえるお話を聞けました。

印象的な出来事を教えてください。
工場内でお話しをする中山さん

 私が社長として父から事業継承した当時、弊社には多額の売掛金がありました。先代の社長までは中間業者を通して各々の取引先に製品を売るという、昔ながらのやり方で仕事を行っておりました。そのため、ものを納めても先方の都合などにより、売掛金の回収ができず、資金繰りが難しい状況でした。
 そこで、弊社と直接取引していただけるよう交渉をするだけでなく、従来の取引先以外への販路開拓を並行して行いました。この2点を地道に重ねることによって、それまでかかっていた中間マージンを省けるようになり、作った分だけの対価・利益を得られるようになりました。加えて、取引先の数も増え、借り入れも一切なくなりました。また、平成28年には、江戸川区の産業賞優良企業表彰を受賞することができました。

今後の展開についてお聞かせください。 お話しをする中山さん

 かつて日本では『衣食住』という言葉の中で『衣』、つまり繊維がはじめにくるほど大切なものでしたが、現在では『食』や『住』の方が重要視されはじめたと感じます。さらに、繊維の業界はセラミックなどの代替品が活用され、他の業界よりも厳しくなっています。
 そのような状況のため、アンテナを高く張り、同業・異業種問わずに様々な方から情報を集め、事業に取り入れ続けています。
 浴衣をはじめとする、織物整理業のみを行っていた初代社長のころと比較すると、現在は織物加工や和装小物の製造など、多くの事業を展開するようになりました。繊維業界がより厳しい時を迎える中、ここが踏ん張りどころと考え、伝統を重んじつつ常に新しいことに挑戦していきます。


張政株式会社の皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。

インフォメーション

張政株式会社 社屋外観
所在地
〒132-0033
東京都江戸川区東小松川4-55-19
Google MAP
最寄り駅
■都営新宿線 船堀駅北口より徒歩10分
電話番号
03-3654-1256
FAX
03-3654-1257
ホームページ
https://www.harimasa.jp/

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