先代社長の病を機に大学在学中から2代目として家業を支える事に。「入社当時は下請け、孫請け、ひ孫請け位の仕事をしていました。創業当初からのスタイルでしたが、このままじゃだめだと。どん底を味わう体験は山ほどしましたよ。」と語る社長さん。試作機や、現在進行中のプロジェクトについてのお話をして下さる時の輝いた表情は、当時のご苦労など全く感じません。底抜けに明るく、ハツラツとした笑顔がとても印象的です。ものづくり職人としての熱気と、第一線で活躍されている社長さんとしてのオーラが溢れているお姿に、底知れぬパワーを感じました。
かぶしきがいしゃ にしかわせいきせいさくしょ株式会社西川精機製作所
Interview No.5
■取材日:2016年8月1日
会社概要
先代社長が昭和35年に墨田区で創業。当初は駄菓子を製造していたが、高度経済成長期の中、事業転換を行い金属加工業へ進出した。鉄・ステンレス・伸銅をはじめとする金属材料のほか、塩ビ、アクリル樹脂材などを取り扱い、切削・レーザー加工・板金加工・溶接・組み立てまでをワンストップで行っている。今日では様々な連携事業を積極的に行い、新製品の開発やPRにも努めている。各種雑誌・メディア出演多数。世の中に求められるモノを町工場の視点から探し、そのニーズに応え続けている。
1つの技術に特化していないのが何よりの特徴です。広いレンジのカテゴリーを持っていて切削・板金・組み立てまでが一つの工場で可能なのは、当社の強みです。お客様のニーズにどれだけ忠実に応えるか、かつ速度を重視しております。また秘密保持契約上からも、ワンストップで製品を作り上げることは今の世だからこそのご要望で、それに応えるべく日々の業務に取り組んでいます。
ひとつは、介護福祉機器の協同開発プロジェクトを進めています。きっかけは、江戸川区の新製品・新技術開発支援助成金を利用し「誰でも簡単に楽しく遊べるボーリング用投球補助器具」を発案、製作したことからです。実際に販売も行い、昨年度はクラウドファンディングにも成功しました。製品を販売するだけではなく、ボーリングイベントを企画して、お客様に楽しんでもらう機会を作り出すまでをプロジェクトとしています。この取組みが評価され、東京都主催の世界発信コンペティション2016にて特別賞を頂きました。
また、アーティストやプロダクトデザイナーとのプロジェクトでは、機械屋にはないアイデアが出て刺激を受けます。当社では工場内の一部を工房として無料で開放しております。そこでは活発なディスカッションが行われ様々な試作品が作られています。実際の製造現場でも「デザインを忠実にカタチにし即座にお客様へ届ける」ことが重要です。大ロット発注は価格面で海外の工場へ流れてしまいがちですが、大きな工場には小ロット発注へのノウハウがないのも現状です。そこで町工場の良さが発揮されます。弊社のプロジェクトは、彼らの秀逸なデザインデッサンを図面化し、それをカタチにして目の肥えた方々へ届けるところまでをブランディングすることに挑戦しています。すでに、ここから生まれた作品は様々なアートコンテストにて優秀な成績を収めています。
「こういった発想や技術を持った会社と仕事をしたい!」とお問合せ頂くことが増えました。沢山の方々とのやり取りの中で多くの気づきを得ています。
「産業ときめきフェア」体験コーナーのミニアーチェリー製作には、ものづくりの基本である「ねじを立てる。(ねじを切る)、ヤスリを当てる(削る)」が含まれています。一般の子ども達には貴重な体験では?と、取り入れました。何かを作り出す小さな成功体験。「やったー!自分でできた!嬉しい!もっと作ってみよう!」それがものづくりの原点じゃないかと思います。幼いうちからものづくりに触れてもらうことで業界全体のイメージが変わるのではと期待もしています。
また子ども未来館のゼミナール講師としても参加していますが、第1回ゼミ生の中で、今も月1回弊社に通っている小学生がいます。本格的に図面を引き、計算式を学び、金属でラジコンの船を作ることを目指しています。スタッフが講師となり、卓上で問題点を洗い出し、修正し、板金展開を行い、曲げ加工まで全て行う予定です。そういった子が、将来「ものづくりエリート」として中小企業やベンチャーなどで活躍してくれたらと願っていますし、こういった形で次世代を支えて行けたらと考えています。
西川精機製作所ではワンストップでお客様のご要望にお応えする製品づくりを得意としています。
汎用旋盤、汎用フライス盤、ターレット旋盤、ボール盤等の汎用加工機械と、同時5軸複合加工旋盤、マシニングセンタ、NC旋盤の併用により、高精密・高品質の製品を大小ロットに関わらずご提供することが可能です。
レーザー加工機によるブランク加工から、大小様々な一般成型品、
板バネの製作まで。複雑な折り曲げも可能です。
各種金属加工等、あらゆる加工素材の需要にお応えします。
IoTの勉強会では中小企業はまだまだ少数ですが、町工場ならではの視点や意見を拾ってくれます。現場の職人たちはITとは無縁で、導入は容易ではありません。しかし、そういった生の意見を発信していく事で、町工場のIT化の先駆けになれたらと。中小企業もすごいじゃん!ってびっくりさせたいんです。会社資本はバラバラでも、ITの力で一事業部同士位の感覚でいられれば、情報共有ももっと緩やかになり、大企業にも負けない大きな仕事が出来るようになると考えています。
【東京町工場ものづくりのワ】サイトはこちら↓
http://www.machikoba.tokyo/index.html
主に事務全般を担当されている社長夫人にお話を聞きました。
「実家も町工場だったので、小さいころから現場に入ったりしていましたよ。穴あけも現場職人さんに負けず劣らずの腕があります!」と素敵な笑顔で語り始めて下さった奥さま。
「それだけにものづくりが大変なのも重々知っていて、ましてや長男の嫁にはならないって決めていたのですけどね。主人の会社と取引をしていた縁で、嫁ぐことになりました。昔からいつも主人は、逆境に立っても、落ち込まないし、乗り越えようとする力があってそれは本当にすごいなと思って見ています。」
「夫婦の姿は家でも、会社でもあまり変わらないかな。よく言えば会話の絶えない夫婦、家族の様です。周りからは喧嘩しているようにも見えるみたいですが…今はおかげ様で、本業以外の事にもたくさん携わらせて頂き、毎日目まぐるしく過ぎている印象です。私は縁の下の力持ちとして、お仕事させて頂いていますが、社内の職人さんはみんな私を頼って良くしてくれて、とても働きやすい環境だと思います。」
株式会社西川精機製作所の皆さま
「えどがわ産業ナビ」インタビューにご協力頂き、本当にありがとうございました。
インフォメーション
- 所在地
- 東京都江戸川区松島1-34-3
- 最寄り駅
- 都営バス
『京葉交差点』下車、徒歩3分
徒歩/JR新小岩駅南口より徒歩40分 - 電話番号
- 03-3674-3232
- FAX番号
- 03-3674-3236
- ホームページ
- http://www.nishikawa-seiki.co.jp/
「趣味のアーチェリーから本物を図面化しミニチュアパーツを製作したのです。本場アメリカメーカーの執行役員さんにも送ったところ「So cute!」って喜んでくれました!」と製品について語る時の社長さんの笑顔は少年の様に輝いていました。