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科学啓蒙作家の塾「田井塾」

「田井塾」:創立50周年企画・試訳「空間論16」2020年06月07日

「田井塾」:創立50周年企画・試訳「空間論16」 関連画像1
・・・・・・・・・・・・「田井塾」:創立50周年企画・試訳「空間論」への招待・・・・・・・・・・・・

・・・・・序奏・・・・・

●ドビュッシー・・・・・「夢」

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 ※田井塾はおかげ様で令和3年5月で創立50周年を迎えます。これを契機として2005年に発表した時間論『時間の不思議』(東京図書)に続いて「空間論」を発表する計画を立てていました。しかし、能力的な限界により資料整理がなかなか進まず、そのため、ロシアで発表された「空間論」を翻訳する活動に切り換えさせていただきました。関心のあります方を求めて、その下訳をまずここで発表し、緊張感を高めてまいりたいと思います。なお、この活動は塾での指導の合間を見て行っているため、かなりゆっくりしたペースになっています。また、内容に矛盾がありましたら、訂正までお待ちください。

 ●● 試訳としての「空間論」への招待-その16- ●●

 これまで私たちは物理学的概念としての「対象」をかなり漠然と使って来ました。そこで今これを少しでも正確にしたいと思います。
 この「対象」ですが、もっとも一般的な観点からすると、これは実在世界の一部分を意味しています。ただし、これを実在世界から切り離したとしても、この部分はその大本の世界とはこれまで通りの関係を維持しています。
 また、この対象が別の対象やその対象の一部を使って構築される場合は、これを構成的対象ないし複合的対象と呼んでいます。もしこのような対象になっていない場合、対象は素対象、ないし単一対象と呼ばれています。
 実在世界のモデルは単位系として使われる対象の形に依存しています。これらの対象が複合的である場合、理想的なスケール系となるために、対象が細分化される可能性があります。ただそうすると、これによってある段階で矛盾が発生する恐れがあります。結果として、このようにして作られたモデルは、理想的とは言えませんが、しかし、実在世界の姿に近似的には近いと言えます。実は、これはもう少し先まで読み進めると明らかになることですが、私たちのスケールが素対象から離れていればいるほど、得られる満足度がますます大きくなるのです。私たちはこれからこのようにして得られる近似を古典的近似と呼びたいと思います。
 ところで、複合的対象の素対象に対する比の値はもっとも簡単な整数、つまり、複合的対象の中に含まれている素対象の数で表されるため、この数値は近似度を示す量として簡単に利用できます。
 たとえば、この値がひじょうに大きいとき(言い換えると、上述のようにスケールが素対象から大きく離れているとき)、私たちの実在世界のモデルは詳細さに欠けているものの、その代わり測定単位であるスケールでこの複合的対象を測定すると、何と不確定性の度合が最小になっている(満足度が大きくなっている)のです。
 また、素対象は理想的な測定単位が求める「限りなく分割し続けられること」という要求を完全に満足させることはできませんが、ここで、私たちが選んだスケールが素対象と同等であると仮定すると(たとえば、これによって、近似度がひじょうに小さくなっている場合)、結果として得られる実在世界のモデルは理想とは大きくかけ離れていて、詳細さの度合も大きく、実在世界の個々の対象も最大限に明確になっています。ところが、これらの対象と残りの実在世界との間の関係に関する不確定性の度合が最大限に大きくなっている(かなり漠然としたものになっている)のです。
 この後者の問題は、私たちが関心を持っている対象が素対象と同程度のスケールの現象で、測定単位がひじょうに大きい場合にも発生します(なぜなら、この場合も近似度が小さくなっているからです)。このように、近似度を使うと現象を客観的に考察することができるのです。
 さいごに強調すると、不確定性の度合の判定基準となっているのは研究している現象(対象)の中の素現象(対象)の「量(数)」であって、現象それ自体の幾何学的サイズではありません。これから徐々に理解いただけると思いますが、実は、私たちの認識し得る知識の要素、つまり、「素事象」を1つにまとめた理想的な構造もまた素対象です。ですから、この場合もまた実在世界を絶対的に正確に記述することが不可能であることが分かります。この点を含めて次に「事象」についての話に移りましょう。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・●●●●●今日も1日感謝の心で●●●●●・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
 
 
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