服・OEM、染色・プリント加工、後加工までをワンストップで提供する
株式会社 黒沼染工場
住所:〒132-0032 東京都江戸川区西小松川町7-16
電話:03-3654-0127
URL:http://www.kuronuma.co.jp/
産業ナビリンク:http://edogawanavi.jp/shop/600137/
- 日本の伝統の染色とプリントの技術融合で「進化と革新」
- 状況に応じた3種類の加工を自由自在に操る高度な技術
- 究極の小ロットを追求し、小回りの利く社内体制
【事業内容】 日本の伝統の染色とプリントの技術融合で「進化と革新」
90年の伝統と歴史を有する会社である。藍染の「風呂敷」「暖簾」にて日本橋繊維問屋街で好評を得、過去には「つくば科学万博」に出展し、販売を行う。従来の技術を生かしながらも一方では多くの生産機械を導入し、アパレルを主流に一貫した製品づくりを行い、「和」、「感動」、「夢」を提供し「進化と革新」を目指す企業である。
【会社の強み】 状況に応じた3種類の加工を自由自在に操る高度な技術
染色加工においては主に3種類の加工を可能にし、製品プリントでは同じく3種類の方法を取り入れている。製品加工でも3種類の加工法を使い、お客様の要望や素材の内容により臨機応変に対応し、高いお客様満足度を達成している。
染色加工 反応染、硫化染、顔料加工
製品プリント シルクスクリーン印刷、インクプリント、防染プリント
製品加工 フロスト加工、パウダー加工、ブリーチ加工
【さらなる挑戦とは?】 究極の小ロットを追求し、小回りの利く社内体制
現在のアパレル製品の1ロットは数量にして200~300である。これを究極の50~100にする。1ヵ月納期を10日以内にする。自らこのような過酷な課題を提示し、解決のため会社全体で取り組んでいる。簡単に答えの出る課題ではないが、飽くことない探求心が、難題を解決へと導くであろう。常に同社はing(進行形)であり、ed(過去形)にはすがらない。
【代表メッセージ】
取締役専務 黒沼公雄 氏
―― 御社の今日に至るまでの経緯をお聞かせください。
創業当時は和風小物を主として染めてきました。特に風呂敷は当社の主事軸となる製品でしたが、昭和40年代になり紙袋が出てきたためにニーズが大幅に減少してしまいました。コストが安く、手軽な点が風呂敷にとって代わったわけです。このままでは、会社の先行きに不安が生じ、今まで培ってきた染色技術を生かせるもの、すなわち対象が風呂敷から衣類へと方向変換をしました。弊社の技術を生かしてTシャツやトレーナーを製造し、その流れの中から現在のカットソーの製造へと広げてきました。
―― OEMサービスに力を入れていると拝見いたしましたが、具体的な商品がございましたら教えてください。
渋谷、原宿のアパレルメーカーさんに弊社の製品を卸しています。製品的にはカットソーが中心です。ラフォーレ原宿のショップ等で弊社の商品を購入することができます。但しOEMのため一般的には弊社の製品であるかどうかはわかりません。お客様の要望によって多少の変化はありますが、大体1アイテム1サイズ3色展開のものを大体200~300製造します。メンズものですと3~4サイズ、3~4色で展開しています。
―― パターン作成から仕上げまでの工程で特にポイントとなる点及び注意点をお聞かせください。
社内で一貫生産を行っていますが、弊社はもともと染物屋ですので、染とプリントの技術を生かしていかに商品の良さを訴えいくかという点がポイントであり、強みでもあると思います。染色の新しい技術、プリントの新しい技術を商品に使っていく事をOEMとして発注をいただいたお客様に提案をしています。注文をいただく点では、お客様からの要望に対して、弊社として提案することもありますし、逆に弊社の技術を前もってお知らせし、お客様からこの方法で製造してほしいという2通りのケースがあります。アパレルメーカーさんは発注する際、染屋さんを使って、プリント屋さんを使ってと、その商品に合わせた事業所を選ぶ必要があります。しかし、弊社の場合はトータル的にすべてできるので、アパレルメーカーさん側も生地の発注から完成に至るまでの流れが把握でき、安心して発注してもらえることになります。要は企画の段階から詳細を打ち合わせできる点で重宝がられているのかと思います。その中でも一番の売りとなるのが、納期の短縮です。社内で一貫して製造する点は差別化につながりますし、差別化ができないと価格の競争になるだけで、負のスパイラルに陥ってしまい、生き残っていく事が大変厳しくなります。
―― 2006年(平成18年)に消費者を優先にした社内体制づくりをされていますが、その点に関してお聞かせください。
末端の消費者に向けて自社ブランドを販売していく事によって、アンテナ的に消費者の動向をつかむことが可能です。そして、さらなる染色の技術を向上する起点にもなります。今までの体制、物を染めていればいいという「ものづくり」から、実際に染色を行っている人が消費者の声をじかに聞ける体制に変更しました。それによってお客様との打ち合わせの中で積極的に提案をすることで、その人自身の成長につながることが多々あります。また厳しい要望を目の当たりにしたことで、それを解決すれば自信にもつながっていきます。上辺だけの営業ですとお客様の状況を把握することができません。弊社の営業に若い女性がおりますが、彼女のお客様の注文が最近減少したために悩んでいました。そこでお客様に素直に「私の営業の仕方に問題がありますか」と聞いたそうです。彼女の対応は問題なく、お客様の会社の内情を聴くことができ、注文が減った理由も明らかになり、今ではまた注文をいただけるようになりました。お客様のいろいろな状況を単に想像するのではなく、しっかり会話をすることで「見える化」にたどり着いた一例としてとらえています。
―― 若い社員の方々へのメッセージをお願いします。
現状、弊社も若い人が多くなってきており、10名ほどおります。学生の時にデザインや造形を専攻してきて「ものづくり」に実際に触れ、その中で特に染色をやりたいと決断した人たちです。強い意欲、志を持って来てくれているのでうれしい限りです。この意欲、志を裏切ることなく、反映させていく事が会社の使命だと思っています。またこの若い人たちは自社ブランドに対しての意欲も強いので末端の消費者に販売していく手法も取り入れてきました。「夢」のある人をいかに伸ばしていくことができるか、それに伴い一緒に会社が躍進していければと思います。