数値で表現できない感性でプラモデルの金型を製作
株式会社 秋東精工
住所:〒134-0091 東京都江戸川区船堀3-10-22
電話:03-3680-3151
URL:http://www.syuto.jp/
産業ナビリンク:http://edogawanavi.jp/shop/601845/
- プラモデル金型の元祖の血が今も流れる技術集団
- 数字ではわからないバランス感覚と驚きの開発創造力
- 手作業で行う1/100mmの調整は、同社の誇り
【事業内容】 プラモデル金型の元祖の血が今も流れる技術集団
50代から70代の男性なら一度はプラモデルを作ったことがあるかと思うが、国産初のプラモデルを販売した玩具メーカーとして知られるマルサン商店。この会社の初の国産プラモデル「原子力潜水艦ノーチラス号」の金型を作成した人物、この人こそが柴田幹雄会長(初代社長)である。プラスチックの製造技術が確立していない中、試行錯誤の末、完成に至る。その後プラモデルの人気は高まり、幾多のプラモデルのブームを迎え、この市場でヒットが続く。今では時代の流れの中で、プラモデルの金型のみでなく、プラモデル製品の企画・設計・製造を一貫して社内で行っている。今では「秋東精工」の名は、日本国内はもとより、海外の模型メーカーにも同社の技術力の高さで知れ渡っている。
【会社の強み】 数字ではわからないバランス感覚と驚きの開発創造力
なんといっても妥協を許さない匠の技術である。数値では表現できないちょっとしたバランス感覚が創造を超えた製品へと仕上がっていく。それに匹敵するもう一つの武器は、イラスト1枚からでも形にしてしまう開発創造力である。その1枚から図案化し、モデル化することで顧客の感動を呼び起こす。
【こだわりのすごい技とは?】 手作業で行う1/100mmの調整は、同社の誇り
ニッパーとセメダイン。プロモデルの組立と言ったら必須の道具であるが、「手で捻るだけでポロリと取れるパーツ」、「指でグッと押し込むだけで圧着するプラモデル」などを実現させ、この2つを不要にさせる。この「ポロリ」と「グッ」の感覚は、機械技術では限界がある。ここに同社のこだわりがある。1/100mm単位の調整を手作業で行い、製品化にする。
【代表メッセージ】
代表取締役社長 柴田忠利 氏
―― プラモデルの金型の製作に関して長年携わっていらっしゃいますが、その中での苦労話がございましたらお聞かせください。
価格の低下によってプラモデルの製造が中国に移っている現状があります。現在では中国の価格がベースになっているため、同製品を国内で製造するのは人件費の点からいっても大変な苦労が伴います。リーマンショック以降、弊社は今まで培った技術を生かして中国ではできない、手がかかる複雑な付加価値のあるプラモデルを製造することを主にしています。
―― IT経営ポータルに関してお聞かせください。
経営に関してスピードの時代であることは、皆さんも実感されていると思いますが、そのために機械の自動化を推進してきました。それともう一つCADを導入し、作業効率のアップとコスト削減を実現させています。受注数をアップするためにホームページの立ち上げも実施しました。実は、新規のお客様の90%はホームページからの問い合わせで契約に至っています。特に近年では自動車産業や医療機器産業のお客様との取引がございました。自動車産業のお客様に関していえば、コンセプトカーのプラモデルの製作を依頼され、ノベルティとしてご利用していただいております。医療機器産業のお客様に関しては、カタログの説明だけで高額な医療機器を購入する病院はありませんので、実際に機械を見て頂かないと購入に繋がっていませんでしたが、弊社がその機械のプラモデル、すなわち縮小版を製作することで機械の外観、仕組み等を説明することを可能にしたため、受注数の増加に寄与しています。
―― 環境保全に関して取り組まれた経緯と内容をお聞かせください。
昨今の環境に対する考え方から、環境に取り組んでいかない会社は今後、存続していく事が難しくなるであろうという背景から、コンパクトエコシステムを導入しました。社員一人一人の環境に対する意識の向上を掲げ、環境保全に取組みました。特に弊社はかなり油を使用していますので改善ができればという強い思いがありました。2012年(平成24年)10月15日~2013年(平成25年)1月14日の3か月間実施、レポートにまとめ、二酸化炭素の排出量の削減、廃棄物排出量の削減、水使用量の削減等6項目にわたり実際の計画内容を織り込み実施しました。残念ながらすべての項目で削減を達成することはできませんでしたが、社員の意識向上を図ることができました。また会社全体で活動したことで、まとまりが一層強化されたと思っています。おかげさまで江戸川区からもエコカンパニーとして認めて頂くことにもなりました。
―― 今後の展開に関してお聞かせください。
異業種の分野のお客様が増えている中で、これからもホームページだけでなく、売り上げを伸ばしていく手段を検討しています。また玩具としてのプラモデルではなく、異業種に使われるプラモデルとしてすそ野を広げていく可能性を目指していきます。
―― 今後採用していきたい人材に関してお聞かせください。
私の考えですが、公私混同は大いに結構と考えています。仕事と遊びは互いに裏腹である部分ですので、仕事をしているとき、遊びのことを考えるときもあるでしょうし、逆に遊べるのは仕事があるからだと考えることもあるでしょう。混ぜながらどちらも考えていくはずです。仕事はその人に課せられた使命ですし、両立することが大事だと思います。弊社の社員はみなプラモデルが大好きです。ホームページを見てプラモデルが大好きなので採用してくださいと応募をしてくれます。腰掛という感覚ではこの仕事は続きません。「俺がプラモデルを今後も残していくんだ!」という気概を持った人を採用していきたいと思います。