蓄積した経験と、アイデアで短期間での金属加工製品化に挑む
株式会社 西川精機製作所
住所:〒132-0031 東京都江戸川区松島1-34-3
電話:03-3674-3232
URL:http://www.nishikawa-seiki.co.jp/
産業ナビリンク:http://edogawanavi.jp/shop/601642/
- 1つの機械・技能にとらわれない多種多様なニーズに応える技術力
- 「アイデア」「レスポンス」「デザイン」は同社の強み
- 技術の革新は医療・理化学分野の精密機器へ
【事業内容】 1つの機械・技能にとらわれない多種多様なニーズに応える技術力
同社は、主に難加工材料を素材に一般加工物や特殊加工治具等のニーズに対応しながら、培った豊富な技術と確かな品質で多種多様な製品の供給をしている。創業当初より表面処理用の治工具を製作しており、鍍金及び塗装をする際に使用される搬送用の治具を製造してきた。その治具製造には板金・切削・溶接など広範囲の技能が必要であり、その製造を通して同社の基礎技術を構築してきた。 現在では自動プリント基板メッキ装置用治具、熱処理治具、各種切削部品加工品、各種板金加工品の製造および医療・理化学向機器の製造・販売等を行っている。
【独自戦略】 「アイデア」「レスポンス」「デザイン」は同社の強み
同社の基礎技術は4つの技術部門に分けられている。
1. 切削加工部門
2. 板金成形部門
3. 樹脂成型部門
4. 溶接加工部門
それぞれの部門での製品だけではなく、4つの部門をそれぞれ融合して、製品を作り続けている。これら総合的な技術力を武器にし、「アイデア」「レスポンス」「デザイン」を添加し短期間での製造・納品を実行している。
【プロジェクト】 技術の革新は医療・理化学分野の精密機器へ
現在、新規のプロジェクトとして動いているのは、医療・理化学分野である。特に医学・薬学系の研究室で使用される研究用機材を中心に開発を進めている。例としては、病理検査等の染色試料の作製に使用される冷凍切片作製装置および放射性実験動物を処理する急速脱水装置などである。
【代表メッセージ】
代表取締役 西川喜久 氏
―― 御社の製品は広範囲に及んでいますが、受注から製造への流れを教えてください。
弊社の製品には、プリント基板を押さえるための冶具や自動車の部品を押さえる製品等があります。このような製品は通常の手順ですと、図面を描いて、試作品を作り、実際に作動させてみてお客様に評価をしてもらうという流れですが、私は「レスポンス」の速さが最重要だと考えています。したがってお客様の要望をお聞きして、弊社の持っている技術からどの部門の技術とどの部門の技術を融合すれば製品がすばやくできるかを検討します。そして、具体的にまず試作品を作り上げ、それと同時に、メリットとデメリットをお客様にきちんと説明して、お客様に選択していただき、受注に結び付けております。弊社のいる業界で納品に1~2ヶ月費やしていては生き残れません。ですから「レスポンス」の速さがキーポイントになるのです。
―― HPにございました人生訓と座右の銘に関してお聞かせください。
人生訓は、先代が病気で倒れる数か月前に急に思い立って書いたものです。11項目ほどございますが、その中で、9番目の「案ずるより産むがやすし」という言葉が、私が子供のころから教え込まれたものです。これがすべて物語っていると思います。お客様からの要望を「言葉」や「絵」で表現するのではなく、現物を見せてしまえということなのです。このことで、認知度の高さ、インパクトの強さを表現できます。それが先ほどの製品化の流れの中でお話ししました「レスポンス」の速さに結びついています。この言葉が私の座右の銘です。
―― お客様から依頼を頂いてから、要望を製品に相当するものを製作するのにどのくらい日数がかかっているのでしょうか?
お客様にお話を頂いて、原則営業日24時間以内にお見積をお返しします。他部門にわたる場合や組立が必要なものは少し時間がかかるものもありますが。その後正式に受注をしますと、実際に図面を書いたりお客様と打ち合わせをしたりして試作へ進みます。賞味10日~2週間程度です。中にはお客様との打ち合わせで話が早く進むときは1週間程度で納品できるときもあります。
―― 試作品から実際に製品化に繋がっていくわけですが、その過程での重要な点はどのようなこととお考えですか?
豊富な「アイデア」と速い「レスポンス」で製品化に邁進していきますが、私のもうひとつのこだわりとして、「シンプル イズ ザ ベスト」があります。この言葉は2つ目の座右の銘といっても過言ではありません。 製品のデザインが複雑であれば、加工工程で時間がかかり、コストに反映してきます。そのためにもデザインは欠かせないものですし、シンプルであればこそパーツの数も少なくでき、故障の等の不具合も最小限に抑えることが可能です。このことから、デザインは無視することができない項目と位置付けています。また、日ごろから「遊び心」が大切であると考えています。「遊び心」で作った東京都の金属パズルや、ミニチュアのヘリコプターなどがありますが、これらは1度で完成したものではないのです。何回も試行錯誤を繰り返し完成したものです。例えば、レーザー加工機で作製した東京都の区市町村パズルは、そのままの縮尺で加工したらピースがうまくはまりません。それぞれの周囲を2/100mm小さく加工することで、きれいにはまり完成に至りました。 直接製品に結びつかないこのようなものをつくることでいろいろなノウハウが蓄積できます。そして自分の中で知識と経験の引き出しが増えたことを実感します。「シンプル イズ ザ ベスト」と「遊び心」が短納期・高品質な製品に繋がっています。
―― ボーリング用投球補助器具について。
ボーリングは、誰でも楽しめる生涯スポーツとして、車椅子や障害を持っている方にも人気があり、大会なども開かれています。 一人でボールを投げることが難しい方のために、投球補助器具があるが、市販品は高価なものが多く、ボーリング場でのレンタルや、自作していることも多いと言う事を知りました。 また、それらは重量があり、移動に介助者の手伝いを要することや、投球者自身で投球方法や方向をコントロールする事が難しいということも課題であると感じました。 そこで、上記の課題を解決し、誰でも気軽にボーリングを楽しめるような、安価で軽量な自由度の高い投球補助器具の開発に取り組みました。 本体を動かさず投球方向を任意に設定できる機構を独自で発明しました。細身のライン形状でデザインし、投球を後方のトリガーを引いて行うようにすることで、娯楽性を追加しました。
ボーリング用投球補助器具に関する詳細は
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/san_jigyosya/sangyo_jigyosya/jyosei/sinseihinsingijyutukaihatusien.files/
05nisikawaseiki.pdf を参照願います。
―― 今後の展望に関してお聞かせください。
「ものづくり」に興味のある若い人を今後も採用していきたいです。その人たちと一緒に勉強し、トライアンドエラーを繰り返し、弊社の強みである4つの技術を融合し新しい発見やノウハウを蓄積していきます。これからも「アイデア」、「レスポンス」、プラス「デザイン」でいろいろな分野で活躍できる企業を目指していきたいと思っております。また、弊社の技術レベルを高め、ボーリングだけに限らず他のスポーツにおいても車いすを使用されている方や他の障害を持った方が、今以上に楽しめるスポーツ補助器具を開発していく事も目標の一つです。